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トピックス 学校教育

2006年9月7日

教師の現場力を高めるのが教職大学院!
梶田叡一・兵庫教育大学学長/中教審教員養成部会部会長に聞く

 教員の資質向上は、教育改革の中でも最も重要なものの一つ。その具体的な施策が、7月11日の答申「今後の教員養成・免許制度の在り方について」で示されました。

 そこで、教育総研では、この答申を審議してきた中教審教員養成部会の部会長である梶田叡一兵庫教育大学学長に直接、施策の柱の一つである教職大学院制の導入について、そのねらいと課題を伺いました。その一部をご紹介します。(8月24日取材)

古川
教職大学院」制度が、平成20年4月から導入されることが決まりました。これは今での大学院とどこが異なるのでしょうか? 
梶田
現在、兵庫教育大、上越教育大、鳴門教育大といった「新構想大学」や「14条特例」による教育学部を備えたり教育大学である60ほどの国立大学に1年間のマスターコースが設けられています。
しかし、これらには非常に強い批判があります。そこに行って勉強しても、現場レベル、つまり教壇に立つ教師としての力量が必ずしも付いていないということなんです。そういう反省の上に立って、アカデミックな要素のほかにプラクティカルなものを強調する必要があろうということがずっと言われ、これが今回の教職大学院につながったわけです。
古川
具体的には、どのようなカリキュラムが考えられているのでしょうか?
梶田
カリキュラムの大きな特徴は、今までの大学院教育ではあまりなかったケーススタディ、あるいはフィールドワークを重視している点です。授業や生徒指導に関するものだけでなく、管理職におけるリーダーシップ向上ためのフィールドワークも行います。
古川
現時点で、教職大学院の設置はどうなるのでしょうか?
梶田
兵庫教育大では、制度の導入より1年早く、2専攻4コースがスタートします。具体的には、学校指導職コース、授業実践スペシャリストコース、心の教育スペシャリストコース、3年間で大学院レベルの小学校免許が取れるという小学校教員養成特別コースです。
古川
教職大学院創設のもっとも大きなハードルとは何でしょうか?
梶田
教職大学院を担うスタッフの3割以上が「実務家教員」でなければいけないという縛りがあり、これが現在足かせとなっています。実務家教員とは、20年前後学校の現場におられたとか、指導主事をやられたとか、校長さんをやられたとかいう(元)教員で、辞めてから5年以内の方のことです。しかも、後輩を指導する、また同じフィールドに来る次の世代の人を指導できるだけのレベル、力があるということを実証する論文、著書、紀要への発表など、実証するものが必要です。
古川
実際には、どの程度の設置数が見込め、将来はどうすべきなのでしょうか?
梶田
個人的には、初年度に10、3年間で30~40つくらなければいけないと考えています。将来的には教員の研修や教員の養成はそこをメインにするということを考えなければいけない。「高度専門職としての教師」という社会的なイメージを確立する意味からも、どんどん子どもが変わってカリキュラムも高度化していくという中から専門性を本当に身に付ける上からも、マスターを取って教壇に立つということを当たり前の姿にしなければいけないと思います。

(さらに詳しくは「NEW教育とコンピュータ」10月号を、また教員免許更新制の導入については同誌9月号をご覧下さい)

(古川隆研究員)

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