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トピックス 学校教育

2007年9月5日

<寄稿>IMETSフォーラム2007の開催報告
(財)才能開発教育研究財団の清水永正研究部長より

 (財)才能開発教育研究財団は、8月3日(金)~8月5日(日)の3日間、教師を対象とした研修会「教育工学研修中央セミナー(通称IMETSフォーラム2007)」を、港区立港南中学校を会場にして開催した。本研修会は、文部科学省・東京都教育委員会等の後援をうけ、現在の日本教育界を代表する教育学者、実践者を集めて開催されたもので、今年は34回目となる。研修主題は、「子どもたちを伸ばす授業企画力」。学力低下問題の切り札として注目される「教師が授業を企画する力」の育成をテーマに、講演、ワークショップが展開された。

 また、従来のフォーラムは、2日間の開催であったが、今年のフォーラムでは、3日目の新企画として、「教育夏まつり」が実施された。

 教育工学研修中央セミナーは、教育工学を普及させる目的で、昭和48年に「教育のシステム化と授業の改善」をテーマに始まった。当時の内容は、今で言うワークショップ形式で指導プログラム、学習評価等を作成・改善・検証することが中心であった。

 20回大会まではこのような内容であったが、この大会より内容が大幅に変更された。個々の授業を検討することから学校のカリキュラムを検討する方向になった。優れた教育実践をしている学校の実践事例報告を基に実践の解説・討議がメインとなった。さらに、教育工学が得意とするコンピュータの教育利用に関して、研修プログラムにいち早く取り入れられている。この頃には、IMETS(Improvement of Media Education and Teaching Studies アイメッツ)という愛称ができ、教育工学研修中央セミナーをIMETSフォーラムというようになった。

銭谷眞美文部科学事務次官

銭谷眞美
文部科学事務次官

 最近のIMETSフォーラムのプログラムは、受講者の多様化に応えるかたちで、教育工学系の内容にとらわれないワークショップ形式の講座が増えている。

 今年のフォーラムの冒頭では、7月に新しく文部科学事務次官になられた銭谷眞美氏の挨拶があった。そのなかで、「教員一人ひとりの授業実践力を高めていく必要がある」とし、それには授業研修が欠かせないと、受講者を激励した。

 講演は、以下の4講座

山極隆玉川大学教授

山極隆玉川大学教授

 「教育改革の先進国に見る教師の自己研鑽」坂元昂日本教育工学振興会(JAPET)会長 

 「学力充実・規範意識向上に向けての重点戦略」山極隆玉川大学教授

 「諸外国と比較した日本の授業力」赤堀侃司東京工業大学教授

 「子どもたちを伸ばす授業力」吉崎静夫日本女子大学教授

ワークショップ「コミュニケーションスキルトレーニング」のようす

ワークショップ「コミュニケーションスキルトレーニング」のようす

 今年のワークショップは、2日間にわたり、のべ11講座が開催された。内容は、授業研究、授業設計、ICT活用授業など教育工学系のものに加え、コミュニケーションスキルトレーニング、段取り力養成などである。

シンポジスト(左から、港区教育長 高橋良祐氏、江東区立八名川小学校長 小山正見氏、足立区立五反野小学校長 三原徹氏、学研教育総研所長 安威誠氏)

シンポジスト(左から、港区教育長 高橋良祐氏、江東区立八名川小学校長 小山正見氏、足立区立五反野小学校長 三原徹氏、学研教育総研所長 安威誠氏)

 フォーラム2日目の午後のプログラムにシンポジウムがあった。テーマは、「時代が求める教育改革への期待」。ここで、教育総研の安威所長がシンポジストとして登壇、学研が文科省の受託研究として受けている実体験学習学校「マグネットスクール」の構想について報告を行い、参加者の関心を集めていた。

※ワークショップ:体験型の講座。講演は一方的に講演者の話を聞くだけであるのに対し、ワークショップは、講義・解説、作業・体験する流れで行われる参加型の講義である。

※教育工学:教育の技術は職人的な要素が強く伝承しにくいものであるが、これを工学的な手法を取り入れることにより分析・検証し、マニュアル化を行うためにできた学問。
教育に生かす道具や技術の創造、教育メディアの利用法、授業の分析法などがこの研究分野である。

* (財)才能開発教育研究財団ホームページ

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