学研グループでは、国際NGOプラン・ジャパンを通じて、途上国の子どもの教育環境整備への支援に取り組んでいます。 2012年度(2012年4月~2013年3月)は、「インドネシアにおける子どもの防災教育プロジェクト」を実施しました。 2012年10月にジョグジャカルタで開催された「第5回アジア防災閣僚会議」で本プロジェクト対象校のオエファウ小学校児童によるスピーチも行なわれ、地域の防災対策改善への本プロジェクトの成果が高く評価されました。 プロジェクトの成果についてお知らせいたします。

プロジェクトの概要

インドネシアで自然災害の発生リスクが最も高い地域の一つである東ヌサテンガラ州のソエ県キエ郡ピリ村のブサブナオ小学校とファトゥコパ郡タエボヌ村のオエファウ小学校を拠点として、子どもたちの防災教育の充実と災害リスクを軽減にさせる様々な活動を支援しました。


プロジェクト活動地域

インドネシア東部の東ヌサテンガラ州はインドネシア国内で自然災害リスクが最も高い地域です。 2006年から今日まで25の大きな自然災害に襲われています。 この地域は都市部への出稼ぎにより親が長期間不在にするケースが多いことから、子どもたちの防災教育を充実させ、自分の身を守る術を身に付けることは極めて重要です。


プロジェクトの主な活動内容

学校での植林活動を通じた「学校緑化キャンペーン」の実施

マホガニーなどの苗木を学校の近くに植えました。子どもたちはこの活動を通じて環境保護の大切さや自分たちが地域で果たすべき役割を学び、村と学校の防災委員会が協力し合ったことで双方の連携も強まりました。

学校における「防災チャンピオン」の選出と意識啓発活動

各学校の児童の中から、防災に関する啓発活動を担う「防災チャンピオン」を選出しました。 彼らは防災知識を同級生に広める役割を担うとともに、模範生として行動することが期待されています。

環境緑化をテーマとした写真や映像コンテストの実施

ソエ県では、「私の大切な緑」というテーマで写真とビデオのコンテストを実施しました。写真11作、ビデオ2作の応募作品の中から最優秀賞が決まりました。 コンテストは行政担当者の関心を集め、広域的な防災イベント開催のきっかけになりました。

コンテストに出品された写真。いずれも自然との共存の大切さをテーマにしています

ソエ県全域への「子どもを中心に据えた災害リスク軽減活動」の紹介と促進

行政担当者、本プロジェクトに参加した地域の人々や学校関係者71人が集まりワークショップを実施しました。本プロジェクトを通じて得た知見を共有し、効果的な防災活動の実現、他の村や学校への防災活動導入に向けた具体的な施策案がまとまりました。


プロジェクトの成果と課題

災害リスク軽減プロジェクトの成功事例

本プロジェクトの成功事例は、他地域にも普及され、活動成果は最大限に活用される予定です。本プロジェクトでトレーニングを受けた児童が、2012年10月にジョグジャカルタで開催された「第5回アジア防災閣僚級会議」に出席するなど、大きな貢献を果たすことができました。


防災委員会の設立と活動

ピリ村とタエボヌ村に新たに村レベルと学校レベルで立ち上がった防災委員会のメンバーは、トレーニングを通して土砂崩れや洪水被害を防ぐために効果的とされる植林の技術や肥料の作り方も身に付けました。 他の地域への防災教育普及にも重要な役割を果たしていくものと期待されています。


子どもの積極的な参加

全ての活動に子どもたちが参加し、自分たちの意見を反映させたことで、地域の防災意識や防災対策の改善に子どもたちが大きな役割を果たしました。


活動の持続可能性

本プロジェクトにより、防災能力が高まり、効果的に活動が継続する体制が整いました。 本プロジェクトでは、大人140人、子ども140人、ブサブナオ小学校とオエファウ小学校教師20人が直接トレーニングを受けました。今後はトレーニングを受けたメンバーによる知見や経験が地域全体に広がることで、自然災害の被害を最小限にとどめ、被災者への速やかで適切な対応ができるようになることが期待されます。


現地の声

クリスタントさん ブサブナオ小学校防災委員会メンバー
「僕はこの活動に参加し、とても楽しかったです。友達と一緒に、どうすれば災害から身を守ることができるか考えました。学校では怪我をした人の救急処置も学びました。学校の裏に植林をしたので、早く木々が成長して、僕たちを土砂災害から守ってほしいです。僕は土砂災害を防ぐために家の庭にも木を植えようと思っています」

マルティーダさん オエファウ小学校教師 タエボヌ村防災委員会メンバー
「村に潜む災害のリスク分析から始めて、それに対する対応策を考える活動の順番がとてもわかりやすかったです。防災委員会メンバーとして被害や負傷者を最小限に抑えるためにトレーニングを受けたのはとても役立ちました」

学研グループは今後も国際NGOプラン・ジャパンを通じて、グローバルCSR活動に取り組んでまいります。 引き続き学研カード会員の皆様のご理解・ご協力をお願い申し上げます。

学研ホールディングス CSR推進室
(写真提供:プラン・ジャパン)