お江戸を拝見

東芝未来科学館

 川崎市にある東芝未来科学館では、環境やエネルギーに関する技術、デジタル技術、半導体など、幅広い分野の科学技術を見ることができる。「創業者の部屋」では、東芝の前身である田中製作所の創業者、田中久重が制作したからくり人形などとともに、万年時計の複製が展示されている。唯一、「動く万年時計」を見ることができる科学館である。
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■万年時計(万年自鳴鐘)
 和時計の最高傑作と言える「万年時計」は、「東洋のエジソン」とも呼ばれる田中久重によって、嘉永4(1851)年に製作された。本物は上野の国立科学博物館に展示されているが、現在は作動しない。国家プロジェクトとして万年時計の分解調査と複製の製作が行われ、平成17(2005)年に完成した作動する複製は、同年の「愛・地球博」で展示され、現在はここ、東芝未来科学館に展示されている。割駒式和時計など6面に時計や文字盤を持ち、天頂部は太陽と月の運行を再現する天球儀になっている。高さは約60cm。


第1面 和時計表示部
 外側の回転する文字盤と指針が和式時刻を刻み、内側の文字盤と指針が二十四節気を示している。外側の時刻の文字盤は、2組の九つから四つまでの文字の間隔が一年かけて自動的に変化する「割駒式」になっていて、季節の一刻の長さに対応している。


第2面 二十四節気書き込み部
 その年の二十四節気を旧暦の日付けで書き込むメモ板で、手動で指針を回す。
 この文字盤は下向きに倒れ、内部を覗きながら時打数の修正ができる


第3面 七曜・刻表示部
 七曜(曜日)と現在の刻(時打数)を示す、2つの文字盤と指針がある。


第4面 十干・十二支表示部
 十干(じっかん)と十二支の組み合わせで日付けを表示する。(十干は甲乙丙丁戊己庚辛壬癸、十二支は子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥)
 指針は1日に30度左へ、外側の文字盤(十干)は1日に6度右へ回転(60日で1回転)し、干支の60の組み合わせを日々指し示す。


第5面 月齢・旧暦表示部
 外周の文字盤で旧暦1ヶ月の日付けを示し、内側では銀と黒の2色に塗り分けられた球体がひと月に1回転し、月の満ち欠けを示す。


第6面 洋時計表示部
 フランス製(スイス製との説もある)の懐中時計が埋め込まれている。この時計の運動がリンクして、ほかのすべての時計が機能している。


天頂 天球儀部
 太陽と月の運動を再現するプラネタリウム。詳細にかかれた日本地図の上空を、太陽と月の小球が時刻に連動して日周運動を行う。2つの軌道は、季節によって高度を変える。


取材協力 = 東芝未来科学館