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たくましく生きる子どもたちに活気づけられた「教育夏まつり2011 in東北」

 2011年8月20日(土)、「教育夏まつり」は初めて首都圏を離れ、宮城県石巻市で開催されました。

  報道などでご存知のように、石巻市は「3.11の東日本大震災」によって、死者・行方不明者合わせ、3,800人をこえる甚大な被害を受けた地域です。現在でも石巻線は途中までしか復旧していません。
  開催日の前日、私は石巻に向かい会社を出発しましたが、福島県沖を震源とする震度5弱の地震が発生したため新幹線がストップし、足止めされました。

また、宿泊先の古川に到着すると、駅前の道路が割れ、マンホールが大きくとび出すのを目の当たりにし、はたして例年のように熱気をおびた「教育夏まつり」ができるのかと、一抹の不安が頭を過ぎりました。
  ところが当日、「教育夏まつり」は感動の幕開けとなりました。津波で校舎が壊滅した雄勝中学校の生徒達51人が開会式で「雄勝復興太鼓」を力強く打ち鳴らしてくれたのです。
  太鼓は被災地で拾ってきた古タイヤにビニルシートをしっかりと巻きつけたものです。また、皆が着ていた黒いTシャツには「たくましく生きよ。」と白ヌキで書いてあり、復興に向かう若い力の迫力を引き立てます。

  「たくましく生きよ。」という言葉は、雄勝中の佐藤校長が卒業生に送った言葉です。この言葉を纏い、困難をものともしないような生徒たちに「生きる力」を感じました。

  また、授業や熟議、校庭・プールでのプログラムに参加した子どもたちも元気一杯でした。
  大震災から半年が経ち、これからさらに大変な時期がやってくると思います。この子どもたちの心の火を消さないよう、私たちには教育という側面からの支援を続けていく責任があると感じました。陰山先生はじめ、講師の方々も、自然と例年以上に力が入っていたのではないでしょうか。

  閉会式は、集まった大学生のボランティアたち70余名と被災地の参加者が一体となり、非常にホットな空気になりました。今までにない「教育夏まつり」になったことは間違いありません。

  閉会式終了後、帰郷する間、才能開発教育研究財団の石井さんと飯野川中学校から被害が大きかった北上川沿いを海のほうへ下ってみました。8割もの子どもたちが亡くなった大川小や大川中、「教育夏まつり」を盛り上げてくれた雄勝中などはさながら廃墟、その周辺地域も波に破壊されたバスや船の残骸やがれきが放置されていました。
  石巻だけでなく、多くの被災地復興というのは、まだまだ先のことかもしれません。しかし、その中で、今回出会った子どもたちのたくましく生きる姿に、未来の明るさを感じた「教育夏まつり」でした。

(内田秀勝 研究員 (株)学研教育出版 学参・辞典出版事業部)

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