トルコでは工業化や、脱炭素社会に向けた再生可能エネルギーなどの開発が重要政策として位置づけられており、科学技術人材の育成が急務となっています。そこで、トルコの小中学生を対象にSTEAM教育事業を展開している学研トルコと、国内外の幼児教育の現場で実績のあるこぐま会が提携し、科学技術人材を幼児期から育成するプログラムを開発します。
こぐま会は、幼児を対象に将来の学びにつながる「考える力」の育成を目指し、日本をはじめとするアジア各国で独自の指導法「KUNOメソッド」を展開。特に、数学的思考を伸ばすカリキュラムの開発に力を入れ、幼児教育の分野で大きな成果をあげています。一方、学研トルコは、現地の文化や教育カリキュラムを熟知した上で、科学的思考の教育をトルコ語で展開しています。両社の教材を現地の幼稚園に合わせたカリキュラムに再編し、トルコの就学前の子どもたちに対して思考力の強化を目指した新しい学びを届けます。
2023年3月21日にトルコ南西部の都市アラニアで、こぐま会代表の久野泰可による幼児教育セミナーを開催しました。セミナーはアラニア区長、教育省アラニア局長、現地大学の研究者、幼児教育関係者が多数出席し、KUNOメソッドの模擬授業も行われました。
参加者は幼稚園児役となり、KUNOメソッドの学習ステップに沿って体を動かすゲーム的な活動からスタートし、具体物に触ったり、手を動かすなど試行錯誤する時間を経て、抽象的なペーパーワークの課題を解決する教育手法を体験し、大きな関心を寄せていました。
今後、2023年の新学期9月にはアラニアに新設される幼稚園で新プログラムの導入が予定されており、来年度はトルコ国内の他の幼稚園での展開も目指しています。
2023年2月6日、トルコ南部で起きた大震災によってトルコだけでも10県が被災し、約4万6千人の死者とトルコ人口の16%に相当する1千4百万人の人たちが住むところを失いました。学研トルコも被災者への支援活動に参加するとともに、災害からの復興を支えるために子どもたちの心理社会ケアを含めた教育プログラムを提供することで、心の傷を癒し、学習への動機づけを高め学力を支えています。
<Gakken Turkey Inovatif Eğitim A.Ş.> https://www.gakkenturkey.com/
学研グループのアイ・シー・ネットの子会社として2022年4月に設立。国の産業を担う人材育成のため、STEAM教育(※1)を中心に現地の私立学校や大学研究者と連携。学研の科学実験教室を現地の教育カリキュラムを補完する形で導入を進め、イズミール、ブルサ、アラニアの私立小中学校3校で展開中。今後全国の学校への展開を目指す。
※1 STEAM教育/Science〈科学〉、Technology〈技術〉、Engineering〈工学〉、Art〈芸術〉、Mathematics〈数学〉の5つの領域を対象とした理数教育に創造性教育を加えた教育理念
◯学研トルコ、現地法人設立について>2022.6.7プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000004079.000002535.html
<株式会社幼児教育実践研究所「こぐま会」> https://www.kogumakai.co.jp/index.html
幼小一貫教育の理念に基づいて、それぞれの年齢にふさわしい基礎教育の在り方を追求・実践している幼児教室。就学前の幼児を対象とした教育を「教科前基礎教育」という考え方で捉え、独自の指導法「KUNOメソッド」を確立。オリジナル教具の開発をはじめ、幼稚園・小学校受験といった現実的な課題にも対処し、実績を残している。1983年設立。