株式会社 学研ホールディングス(東京・品川/代表取締役社長:宮原博昭)のグループ会社、株式会社 Gakken(東京・品川/代表取締役社長:五郎丸徹)が、『僕らの未来が変わる お金と生き方の教室』の売上の一部を、日本国内の子どもの貧困支援に取り組む認定NPO法人キッズドアに寄付しました。認定NPO法人キッズドア理事長・渡辺由美子氏と、『僕らの未来が変わる お金と生き方の教室』の編集担当・宮﨑純氏に、“お金の教育”の大切さについて聞きました。

お金の本の決定版『僕らの未来が変わる お金と生き方の教室』が大ヒット中

ジャーナリストの池上彰さんが監修し、圧倒的にわかりやすい文章と充実したイラスト図解が魅力の『僕らの未来が変わる  お金と生き方の教室』。お金の意味、インフレ・デフレ、仮想通貨、人生の三大資金、働き方と年金、投資、資本主義と格差、幸福感とお金など、お金に関するさまざまなテーマを網羅している。2023年2月に発売されるとすぐに「お金のことがどの本よりもわかりやすく書いてある」「もっと早くこの本に出合いたかった」などと大きな話題になった。発行部数はすでに累計6万部を突破している。

この本の売上の一部は、認定NPO法人キッズドアに寄付され、日本国内の子どもの貧困支援に役立てられる。このたび、本書の大ヒットを記念して、キッズドア理事長の渡辺由美子氏と、本書を企画・編集した宮﨑純氏にインタビューを実施した。(以下、敬称略)

お金を知って、生き方や世の中の出来事に向き合ってほしい

―『僕らの未来が変わる お金と生き方の教室』は発売から2か月ほどですが、早くも6万部突破とのことですね。

宮﨑:そうですね。多くの人に読んでもらえて、とても嬉しいです。

渡辺:大変すばらしい本ですので、売れるのも納得です。お金にまつわる大事なことがすべてつまっていて、この本が学校の教科書になったらいいのに、と思いました。お金の知識が得られるだけではなく、生き方について考えるきっかけになるのがいいなと感じます。

宮﨑:巷にあるお金の本というと、お金を「貯めること」と「増やすこと」にフォーカスした本が多いです。それも大事ですが、お金を貯める・増やすことを第一の目的だと、読者に思ってほしくはなかったんです。特に、この本の対象は中高生や20代30代の若い大人の方たちですから。お金はあくまで人生を豊かにするための道具のひとつ。あなたはどうお金と付き合って、どんな生き方がしたいですか? と問いかける本をめざしました。

渡辺:子どもたちや若い人たちは、将来に対する漠然とした不安を抱えていると感じます。かつては、いい大学に進学し、いい企業に就職して、安定した収入を得る…というのが人生の成功パターンとされていましたが、終身雇用制度が崩壊したいま、一つの正解は存在しません。こういった本を通じて多様な生き方を知り、自分らしい生き方を選んでほしいです。

―お金を切り口に、経済のしくみや世の中の抱える問題など、さまざまなテーマをわかりやすく解説してあるのが印象的です。

宮﨑:“お金の教育ってなんだ?”と考えたときに、やはり“世の中を知る”ということに尽きるんですよね。この社会はお金を介して成り立っていますから。ただ、社会のしくみがすべてうまくいっているわけではなく、格差や不平等など、問題も数多い。この本はそういうところにも踏み込んでいます。解決すべき社会問題に意識を向けられる子どもたち、大人たちが増えてくれるといいなと。もちろん、自分の資産を増やすにはどうするかなどということも本の中で解説していますが、個人のお金の不安を解消するだけでなく、自分以外の誰かの悩みにも目を向けてほしいという、読者のみなさんへのメッセージを込めています。

渡辺:SNSなどでは「お金がないのはその人の努力不足だ」みたいな意見が見られます。「努力すれば何とかなる」と。でも、生まれ育った環境で苦労していて、努力してもそこから抜け出せない人たちがたくさんいます。そういった人たちのことを想像できる人が増えると、世の中ってもっと生きやすくなると思います。

日本では7人に1人の子どもが貧困状態に陥っている

―書籍の売上の一部をNPO法人に寄付するというのは、珍しい取り組みだと思います。なぜ寄付をしようと思ったのですか?

宮﨑:私は20年近く学習参考書や児童書などの編集をしてきました。読者のみなさんに喜んでもらえて、会社の売上・利益創出に貢献できるというのは、充実感があることです。でも、この本はもう一歩先に進みたいなと思っていました。若い世代の人たちへお金の教育をする本だからこそ、この本で稼いだお金を貯めるだけではいけないなと。そこで、本書の売上を貧困に苦しむ子どもたちの支援に役立てたいと考え、キッズドアさんに寄付することに決めました。監修者である池上彰さんにもご賛同いただけましたし、社内の方々にもご理解いただけました。

渡辺:大変有難いお話です。認定NPO法人キッズドアは、2007年の設立以来、日本国内の貧困層の子どもへの支援を行っています。『お金と生き方の教室』にも書いてありましたが、日本では7人に1人の子どもが貧困状態に陥っているといわれています。私たちは、そんな子どもたちを対象に、無料の学習支援や居場所づくりなどの活動に取り組んでいます。

宮﨑:いま教育現場ではデジタル化も進んでいますが、機器を貸し出したとしても自宅にネット環境がない子どもたちは、宿題が提出できなくて困っているという話もありますよね。

渡辺:そうですね。ネット通信ができるものは親のスマホしかなくて、親が働いて帰ってくるのを待って、親のスマホを借りて宿題を提出しているというお子さんもいます。

宮﨑:デジタルツールで便利な世の中になるはずが、逆に大変な思いをしている家庭もある。難しい問題です。

「お金がないのは恥ずかしい」と、助けを求められない子どもたち

渡辺:私たちが2022年11月に実施した困窮子育て家庭への緊急アンケートでは、衝撃的な事実が判明しました。高校生を持つご家庭に進路や進学への影響を尋ねたところ、約2割の家庭から「経済的な理由で志望校をあきらめた」という回答があったのです。進学を断念して就職に切り替えたり、理系学部から文系学部へ志望を変更したり…、夢をあきらめざるをえない高校生の悲痛な叫びに、胸が痛みました。

宮﨑:子どもが夢を持てない社会であることの原因のひとつに、“お金の話”をタブー視する風潮があるように思います。何をするのにどれくらいお金がかかるのか、お金が足りないならどんな制度を活用できるのか、ということがわかっていれば、夢をあきらめずに済むかもしれない。しかし、“お金の話”をすることが憚られるから、「お金がない=夢を持ってはいけない」と考えてしまう人も多いのではないでしょうか。

渡辺:まさにそのとおりだと思います。私たちの学習支援会にやってくる高校生の多くは「お金がないから恥ずかしい」と言います。困窮家庭に生まれたことで、人生を悲観してしまうんですね。しかし、生まれ育った家庭が経済的に苦しくても、いろいろな制度を活用すれば、希望する進路に進むことができるかもしれない。だから私たちは、高校生や保護者に、進学にかかる費用や、奨学金、授業料等減免について教える機会も設けています。

―先ほど渡辺さんのお話にあった「お金がないのはその人の努力不足」というSNSの声も、子どもたちの心理に影響しているかもしれません。

宮﨑:そういうコメントを見ると「苦しいけどお金に関することは自分たちでなんとかしないといけない、助けを求めたら叩かれる」と思ってしまいますよね。「助けてほしい」と言いやすい社会でないといけません。

渡辺:『お金と生き方の教室』でも、教育にかかるお金や支援制度について解説しているページがありましたね。奨学金には返済が不要な「給与型」と、返済が必要な「貸与型」があることなども含めて、親子で学んで考えるきっかけにしてもらいたいです。知ることが大事です。用意されている支援がありますから。

宮﨑:本書の各章冒頭にはマンガが入っているのですが、その中で「配られたカードで勝負するしかないのさ、それがどんな意味であれ」という言葉を引用しました。これはもともとスヌーピーのセリフなのですが、「人生をあきらめろ」という意味で引用したわけではありません。「自分の不遇を嘆いたり、他人の境遇をうらやんだりしても、何も変わらない。自分が持っているもの、使えるものを有効活用して、人生を充実させよう」というメッセージを伝えたかったんです。

渡辺:とてもいい言葉ですよね。子どもたちには、たとえ困難な状況であっても、夢をあきらめないでほしい。自分が気づいていないだけで、持っているカード、使えるカードがあるかもしれない。彼らの可能性を伸ばして、導いてあげられるよう、支援を続けていきたいです。

誰もが生きやすい社会の実現を目指し、それぞれのフィールドで活動する渡辺氏と宮﨑氏。『僕らの未来が変わる お金と生き方の教室』を読んだ人の中から、二人と同じ思いを持ち、行動を起こす人も現れるだろう。この本は本当に、僕らの未来を変えてくれるのかもしれない。

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【商品概要】
『僕らの未来が変わる お金と生き方の教室』
監修:池上彰
定価:1,870円(税込)
発売日:2023年2月24日(金)
判型:B5変型判/312ページ
電子版:あり
ISBN:9784052056918
発行所:株式会社 Gakken
学研出版サイト:https://hon.gakken.jp/book/1020569100

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