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小学生白書Web版 2011年6月調査>分析編>

第2章 学年別にみた東日本大震災時の下校の実態

角替弘規(桐蔭横浜大学准教授)

7.まとめ

 この度の震災にあっては、各学校において様々な下校方法がとられ、しかもそれらはあらかじめ訓練において予定されていた方法とは違った下校方法であった場合もあったと思われる。また、授業や学校行事の状況、子どもの学年や地域によってまちまちの対応がとられたであろうし、保護者や家庭への連絡も思うに任せなかった点が多々あるのではなかったかと想定される。そうした中にあって、多くの保護者が学校側の対応に対して、問題なしとはしないながらも概ねにおいて肯定的に評価しているということは、何よりも基本的な面において多くの子どもが無事に帰宅できたという結果に依るところが大きいのではないだろうか。

 しかしながら今回の震災は首都圏に限って言えば(一部を除くものの)、大きな津波被害や水害、建物の倒壊や火災の発生を免れていることを忘れてはならないだろう。今後、首都直下型の震災が想定され、その場合にはより甚大な被害の発生が予測されている。そのような場合に今回の下校方法によって十分に子どもの安全が確保できるのであろうか。保護者への連絡が確実に確保できるような方法が模索されているだろうか。そうした取り組みが学校任せ、各家庭・保護者任せになっておらず、子どもに関わるあらゆる大人たちの連携の上に協議されているだろうか。今回の震災は、日常生活の中に埋もれ、私たちが「当たり前」と思っていたいくつもの事柄を浮かび上がらせてくれた。「治にいて乱を忘れず」という諺が示すように、日常における震災対策を今まで以上に真剣に取り組むことを忘れてはならない。