女子の持っている物を見てみよう。女子全体では「洋服」（90.0％）がトップである（表F-3参照）。「洋服」を「普段着」と受け取れば、男子の回答結果でも上位に挙がってくるはずである。しかし、男子では「洋服」は上位には位置付いていない。だとすれば、この「洋服」は、「普段着」ではなく、オシャレを意識した「お出かけ着」という意味あいが強いものと推測できる。そうした点では、「洋服」が1位というのは、女子ならではの結果であろう。次いで「自転車」（86.7％）、「ぬいぐるみ」（85.0％）が僅差で2位、3位となっている。4位は「絵本や小説」（82.2％）である。「絵本や小説」がトップ５に入ることは、男子では見られず、女子特有の結果であるといえよう。5位は、「学習机」（77.0％）である。「学習机」がこの順位なのは、男子と同様、低学年の間は、親の目の届くリビングで勉強するといった事情もあるのかもしれない。男女を比較してみると（表F-1参照）、すえ置き型・携帯型を問わずゲーム機（ソフト）がトップ５に入っていないことが、女子の特徴的な点であるといえよう。

学年別に見ると、「洋服」がほとんどの学年で１位である（表F-4参照）。「ぬいぐるみ」は、１、２年生では２位だが、３、４年生では３位となっている。５，６年生では、さらに順位が下降する。「ぬいぐるみ」の順位が、学年とともに下がっていくのは、なぜなのであろうか。年齢を経るにしたがって、両親を含め親族等から「ぬいぐるみ」をプレセントされる機会が減ったり、子ども自身も「ぬいぐるみ」への興味が薄れていったりするからであろうか。そうした動きと対照的なのが「自転車」である。１、２年生では４位だが、学年が上がるにつれ、３、４年生で２位、５年生で１位と、上位に位置づいている。ランクアップしていく要因として、成長にともない、子どもの運動機能が発達してくることに拠るところも大きいと考えられる。なお、「DS・PSPなどの携帯型ゲーム機（ソフトふくむ）」は、４年生以降は５位以内に入ってくるものの、男子と比べると、それほど上位にはランキングされていない。ゲーム機（ソフト）とのかかわり方に関しては、男子と女子とで、違いがあるといえよう。

（学研教育総研主任研究員：徳住政和、明治学院大学教授：石井久雄）