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白書シリーズWeb版

小学生白書30年史(1989~2019年)

【調査テーマ】「小学生の学習・日常の30年を振り返る」

第3部 小学生の学習・生活における社会経済環境の影響
2. 教育の情報化の“これから”
(1)GIGAスクール構想の概要
★政府一丸となって学校PC1人1台を推進

2020年の新型コロナウイルス感染拡大による長期休校・外出自粛は、日本の教育史に残る出来事となることは間違いないが、同年はもう一つ、日本の教育史に残る出来事が発生した。それは、政府が打ち出した「GIGAスクール構想」の実施とその前倒しである。  

「GIGAスクール構想」のGIGAとはGlobal and Innovation Gateway for Allの略称で、義務教育の小・中学校で児童生徒に学習者用パソコン(以降、学校PC)を1人1台配備し、クラウド活用のできる高速ネットワーク環境整備を進め、教育ICT化を実現する文部科学省の構想である。所管官庁は文部科学省であるが、予算獲得等の構想推進に経済産業省・総務省も関わりながら進められている点に特徴がある。

「GIGAスクール構想」は、学習者用端末1人1台配備や校内LAN整備のみならず、ICTやクラウドを活用した子どもの状況に合わせた個別最適化教育の実現、教務や保健も併せたデータをクラウド化して一括管理する統合校務支援システムの導入、教員の働き方改革などを包括して実現することを目指す内容となっている。

表2-3-(2)-a  自分だけの部屋の有無(1989~2006年)

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2019年に発表されたこの構想は当初、2019~2023年度の5カ年計画であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響によってオンライン教育を緊急で整える必要に迫られ、目標を2020年度に前倒しすることとなった。予算についても、2020年度(令和2年度)の予算2,318億円のうち、初年度に1,350億円を投じて学校でのパソコン購入に1台最大4.5万円の補助金を支給して300万台を調達・配備、希望するすべての学校の校内LAN整備を支援するために整備費用の2分の1補助実施が当初の計画だった。しかし、この前倒しに伴い、補正予算案に総額2,292億円を計上し、当初予算分と合わせると「GIGAスクール構想」への2020年度の予算配分は4,610億円と倍増し、目標とする学習者用端末の調達・配備目標は600万台以上となった。

ハード面の整備が急進することはほぼ確実だが、検討中の課題もあり、将来が不明確な部分も多いことも事実である。引用した文部科学省資料中の「今後の主な検討課題」にあるように、「教師の在り方や果たすべき役割、指導体制の在り方、ICT 活用指導力の向上方策、先端技術の活用等を踏まえた年間授業時数や標準的な授業時間等の在り方、学年を超えた学び、デジタル教科書の今後の在り方」など、運用等のソフト面においては確たる指針はなく、当面は各学校や個々の教員が「走りながら決めていく」というのが実情であるようだ。

小学生白書Web版 2020年8月調査