R.K.

(株)学研エデュケーショナル 営業本部 首都圏支社

総合教育サービスを提供する(株)学研エデュケーショナルは、幼児から小学生をメインターゲットとした個別学習の教室事業『学研教室』を全国で展開しており、その数は約1万6000教室にのぼります(2023年9月現在)。先行き不透明な時代にあって、子どもたちの中に「生きる力」を育むことを目標として掲げる『学研教室』。その特長や意義、オンライン化も含めた今後の展望などについて、(株)学研エデュケーショナルの営業本部 首都圏支社で勤務するR.K.に話を聞きました。

「自学自習」の姿勢が、子どもたちの「生きる力」につながる

『学研教室』の特長はどのようなものでしょうか?

『学研教室』は、学校の進度や学年にとらわれない「無学年方式」と呼ばれる学習スタイルをとっています。学校や学年、クラスが同じでも、『学研教室』のなかで取り組む教材は基本的に一人ひとり異なり、個々のペースで学ぶことができます。また、教材は少しずつ段階を踏んでステップアップする作りとなっており、それぞれのお子さまの学習の進度や特性に合わせて提供しています。一人で単元の内容を理解し、問題を解けるように教材が作られているため、自ら考え、学び取る「自学自習」の姿勢が身につきやすく、その結果、「生きる力」が子どもたちの中にしっかりと育っていくのです。
「生きる力」とは、学力のような「見える力(認知能力)」と、判断力や思考力、表現力のような数値化し難い「見えない力(非認知能力)」の掛け合わせによって生まれる力だと考えております。たとえばAIなど新しく出てきた技術や分野に自ら向かっていく力、さらに、そこから生じた社会の変化に対して自分で道を切り拓いていく力。時代の変化とともに、そうした力は今後ますます求められていくでしょうね。
保護者にとっては月謝の面でも、かなりリーズナブルな設定になっています。『学研教室』の大前提は、地域差や所得差がない学習の機会を子どもたちに提供すること。全国共通の価格設定、教材、理念によって『学研教室』が全国に広がり、教育格差を少しでも緩和することも『学研教室』のミッションの一つだと思います。

『学研教室』は、無学年方式で、子どもたちの自学自習の態度をはぐくみ、子ども自身の力を伸ばしていく。一人ひとりの子どもに合わせた個人教材で個別に指導する。
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『学研教室』は、無学年方式で、子どもたちの自学自習の態度をはぐくみ、子ども自身の力を伸ばしていく。一人ひとりの子どもに合わせた個人教材で個別に指導する。

『学研教室』の先生像について教えてください。

『学研教室』は基本的にフランチャイズ契約で、先生ご自身が経営者として教室を運営する形態となっています。新しく教室をオープンしたい方には、まず、『学研教室』の基本理念をしっかりとお伝えします。先ほどお話しした「無学年方式」にしても、ある程度の指標はもちろんありますが、子どもたちの特性や置かれている学習状況をキャッチし、調整するのは各教室の先生です。「自学自習」によって得られた達成感や成功体験をもとに、学ぶ喜びや楽しさをお子さまが自分の中に蓄えていけるように手助けすることも先生の大事な役割です。
『学研教室』では、お子さまによって学習の内容が変わりますが、『学研教室』が、いわゆるマンツーマンあるいは1対2の個別指導と大きく違うのは、ずっとそばについて手取り足取りで教えるような指導を推奨していないという点です。「自学自習」の姿勢をはぐくむことが子どもたちの「生きる力」につながるという視点からいえば、先回りをして教え込んでしまうことで、子どもたちが自分から問題に向かい、自分で気づいて成長するというせっかくの機会を奪ってしまうことにもつながる、というところですね。
また、先生の教室運営の視点からいっても「自学自習」をベースとした指導スタイルは、プラスの部分が大きいといえます。『学研教室』では、お子さま一人ひとりが自立して学習に取り組みます。自分が今日やるべき教材を持って机に座り、学習を始め、日付と時間を書いて提出します。基本的に自分で全部やる形です。そのため、先生が同時に指導できる人数はマンツーマンの指導スタイルよりも圧倒的に多くなります。そして、「自学自習」の姿勢が身につけば身につくほど、子どもたちは自己解決できるようになっていくので、時間あたり同時に学習できる人数が増えます。お子さまの方でも、自分の中で学習のリズムができることによって、新しい教科にチャレンジするなどの選択肢が生まれてきます。「自学自習」の習慣が身につけば、ご家庭でも学校の宿題などの取り組みが変わってくるので、保護者の満足度にもつながります。

学研教室では、「学習の仕方」を子どもの理解度に合わせて個別に指導・確認する。
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学研教室では、「学習の仕方」を子どもの理解度に合わせて個別に指導・確認する。

子どもたちの変化は、未来の社会そのもの

子どもたちの変化について、何かエピソードはありますか。

(株)学研エデュケーショナルの直営教室で、私が教室長兼先生として会員の学習サポートをさせていただいたころの話ですが、小学校3年生のものすごく宇宙について詳しい会員がいました。学習指導が終わり保護者のお迎えを待っている間に少しお話していたのですが、小惑星探査機の「はやぶさ2」について、大人顔負けの専門的な知識をとても楽しそうに、かつ論理的に話してくれたのです。もちろん、そこにはその会員の特性やご家庭の教育方針などいろいろな要素が含まれているとは思うのですが、その一助として、『学研教室』での学びではぐくまれる「自ら学んで自分の中に知識として蓄えていく力」が、この会員の中にしっかりと芽吹いていることを実感したエピソードでした。
ちなみに『学研教室』のコースの中には「ロボットプログラミング」といった最新の教育コンテンツもあり、子どもたちが自分の好きな分野に巡り合える機会も提供しています。多くの教室には学研の書籍もたくさん置いてあり、お迎えを待っている間に図鑑を熟読している会員の姿もよく見かけます。なるべく早い段階で自分の好きなものに出合うこと、そしてそれを受け身ではなく自分から学び取っていく力を持っていること、この二つが掛け合わさることで、子どもたちは、自分が好きな分野に向かってどんどん進みながら成長していけるはずです。そんな子どもたちが増えるほど、社会はより普遍的な意味で多様になっていくと思います。そうした「多様性」がより広がり、評価される社会につなげていくことが、自分の中でのこれからの大目標であり、実は私が学研に入社した際の志望動機でもあります。
子どもたちが変わっていくことによって、彼らが担う少し先の社会も変わる。そして、「こういうことがしたい」、または何かを「こういうふうに変えたい」と思うときは、それよりももっと先の未来を見ることになる。今、目の前にいる子どもたちは、そのまま未来の社会の姿そのものなのだと私は思います。

『学研教室』のロボットプログラミング講座は、子どもたちの興味や好奇心を引き出しながら、未来を生き抜くための力をはぐくむ。
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『学研教室』のロボットプログラミング講座は、子どもたちの興味や好奇心を引き出しながら、未来を生き抜くための力をはぐくむ。

学校教育にできないことで、『学研教室』にできることとは。

『学研教室』にいらっしゃる会員の保護者には、さまざまなニーズがあります。たとえば「進学塾に入れるための前準備として幼児期から学習の習慣を身につけさせたい」という方もいれば、「学校の学習のスピードについていけず黄色信号が見え始めたから何とかしたい」という方もいます。学校の場合はクラス単位で学習が進んでいくので、学校の勉強についていけない子もいれば、逆に学校の勉強が少し簡単すぎてしまう子もいる。最大多数の最大効率的なところで、学校の先生方はものすごく苦慮されているところだは思うのですが。どうしても、その形態である以上、個々のペースで学習できる『学研教室』の「無学年方式」の仕組みが、そういった子どもたちに寄り添える余地はかなりあるでしょうね。先ほどの教育格差の話もそうですが、公教育を支えるという意味でも、『学研教室』が存在する意味は大きいと思います。

これまでで一番大変だったことは何ですか?

私は2019年に(株)学研エデュケーショナルに入社し、『学研教室』の先生方と直接やり取りをする事務局、地域の施策や方針を求める支社、教材や広告など『学研教室』全体の方針を策定する本社というそれぞれの場所で、多種多様な業務を経験してきました。振り返って一番大変だったのは、やはり新型コロナの流行が始まった時期ですね。まさしく、想像もつかない事態でしたから。『学研教室』は対面かつリアルタイムのコミュニケーションを大前提としています。しかし、コロナ禍だからといって完全に教室をクローズすると、お子さまの学習がそこで止まってしまう。「自学自習」の姿勢が完全に身についていることが理想ですが、その途中段階のお子さまもいれば、これから習得しようとしていたお子さまもいて、それこそ、いろいろなお子さまがいらっしゃるわけです。そこがストップするのは何が何でも避けねばならない。急遽Zoomを導入して、遠隔での学習のサポートの仕組みを整えることになりました。当時、私はさいたま事務局のマネージャーでしたが、Zoomのズの字も知らない、それこそ「画面にタップする」という概念さえわからない先生方の隣に座り、Zoomが使えるようになるまでサポートしました。そして、先生方もものすごく努力されて、新しい技術や環境に適応してくださいました。本社から発信されるZoom導入についての資料を、さいたまの先生向けにカスタマイズして資料を作ったところ、その当時のスピード感のなかで、それが全国版になったこともありましたね。こちらとしても初めてのことばかりで試行錯誤しながらでしたので、先生方にご不便をおかけしてしまうこともありましたが、子どもたちの学びを止めないための動きとして、とても大切な時間だったと思います。

理念と収益を両立する「義利両全」を目指して

『学研教室』のオンライン化について教えてください。

2022年に、完全オンラインで教室指導が受けられる『学研教室オンライン』がスタートしました。オンライン教室のニーズや構想自体は、すでに新型コロナの流行以前からあり、開発が進められてきたものです。『学研教室オンライン』の理念や教材、カリキュラムは通室する『学研教室』とまったく同じですが、ウェブ上にある専用の学習システムで、先生とオンラインのビデオ通話でリアルタイムの指導が受けられます。今後の展望としては、会員が通室する従来型の教室システムとオンライン教室、両方のシステムを使えるようになることを目指しています。たとえば、夏休みで旅行している間はオンラインの『学研教室』を受講し、旅行から戻ってきたら対面の『学研教室』に通う、というように、お子さまの学習および生活スタイルに臨機応変に対応できるような仕組みを次のステップとして整えていきたい。これは既存の会員にとっても大きなプラスになると思われます。
また、それとは別に、2021年には完全オンライン学習サービスの「ことばパーク」がスタートしています。「ことばパーク」は、オンラインで「話す」「聞く」「読む」力を伸ばすコースです。脳の中のメモ帳ともいうべき「ワーキングメモリ」の能力開発にフォーカスし、画面を通して先生が読み上げる話を聞き取って質問に答えるなど、言語能力や集中力を育てる複数の教材セッションを展開しています。

『学研教室』の今後の課題は何でしょうか?

やはり、理念と実際に教室を運営していく観点とのすり合わせは大事だと思います。それぞれの教室で地域の子どもたちに学研の教育サービスを届けていただくと同時に、教室事業としてしっかり収益も立てていただく。そうでないと、それがどんなに良い仕組みであっても、広がっていかないと考えています。私は埼玉出身ですが、同じく埼玉出身の実業家である渋沢栄一の言葉に「義利両全」があります。理念的な部分と収益の部分のどちらも叶える、というような意味です。理想論といわれるかもしれませんが、なるべくそこに近づけるように考えていく必要は今後より強くあると思います。

R.K.

(株)学研エデュケーショナル 営業本部 首都圏支社

2019年、(株)学研エデュケーショナルに入社。東日本支社員、直営教室の教室長、さいたま事務局のマネージャーを経て、現在は首都圏支社に在籍。首都圏管内の学研教室を含む、"学研の教室" のサポート・営業業務に携わっている。
料理が趣味で、現在はスパイスカレーに挑戦中。

※ご紹介した情報、プロフィールは取材当時(2023年10月)のものです。

サービス・事業紹介

個々の力に合わせた教材で、子どもたちが学ぶことに自信を持ち、わかる喜び、楽しさを感じられるようにサポートする学習教室です。