誰一人取り残さない持続可能な社会とは、人権が真に尊重される社会の実現ともいえます。「すべての人が心ゆたかに生きる」ことを目指す学研グループにとって、人権は企業活動の基本と考えます。私たちは「学研グループ人権方針」を制定し、お取引先様とともに、人権尊重社会の実現を目指すことを公にします。

学研グループ人権方針

1.基本理念

学研グループは、「すべての人が心ゆたかに生きることを願い 今日の感動・満足・安心と 明日への夢・希望を提供します」を理念として掲げています。
戦後、荒廃する日本の有り様を目にし、創業者は子どもたちの教育のために立ち上がりました。未来を担う子どもたちを育てることは明るい未来を築くことです。そこから出発した私たちはいま、子どもたちだけでなく、現在を支え、未来を築く「人」にかかわる事業を展開しています。私たちの事業が「人」に深くかかわるのは、社会が「人」で成り立っているという事実に依ります。なぜなら、「すべての人が心ゆたかに生きること」で、社会は真にゆたかになると私たちは考えているからです。
これを実現させる重要な要素が人権です。人権とは「ひとりひとりが自分らしく生きる権利」だと私たちは捉えています。その権利を尊重し、何者にも侵害させないことは、人と深くかかわる私たちの使命だと強く認識しています。この認識を基盤に、学研グループ 人権方針(以下、本方針)を制定します。

2.人権に関する国際基準と法令の遵守

■国際人権基準の尊重

国際人権章典および国際労働機関(ILO)の「労働の基本原則および権利に関する宣言」、「子どもの権利条約」に記された人権を支持・尊重し、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」、「国連グローバル・コンパクト10の原則」、「子どもの権利とビジネス原則」等に基づき、責任ある経営を推進していきます。

 

■法の遵守

事業活動を行う国や地域の法令を遵守します。万が一、国際的に認められた人権と事業活動を行う国・地域の法令に矛盾がある場合には、国際的な人権基準を尊重し、それに則った取り組みをおこないます。

3.重要と考える人権課題

■ダイバーシティ、エクィティ&インクルージョン(DE&I)の尊重

ひとりひとりの多様性を尊重し、公平な機会を提供することで、すべての人が自らの持つ可能性を十分に発揮できる環境を作ります。
 

■差別の排除とハラスメントの禁止
人種、民族、肌の色、国籍、性別、性的指向、性自認・性表現、年齢、言語、宗教、信条、社会的立場、家族構成、障がいの有無、雇用形態など、いかなる立場を理由とする、あらゆる形の差別を排除し、ハラスメント、または個人の尊厳を傷つけるいかなる行為も禁止します。
 

■子どもの権利の尊重
子どもの権利を尊重するため、「子どもの権利条約」に示される4つの原則を支持し、子どもたちへ加えられる危害の防止に努め、子どもたちの利益を積極的に保護します。
 

■児童労働、強制労働および人身取引の禁止
「子どもの権利条約」を尊重し、事業活動を展開する国・地域の法定就業最低年齢未満の労働者の労働・雇用を禁止し、これらを利用しません。また、強制労働、拘束労働、囚人労働、現代奴隷や人身売買による労働、債務による労働などを禁止し、これらを利用しません。
 

■安心して働ける環境作りの推進
労働関係法令を遵守し、安全で快適な就労環境の確保と従業員の心身の健康の維持、増進に努め、適正な労働条件のもと、すべての従業員が安心して働ける環境作りを推進します。

4.人権尊重の責任を果たすための取り組み

■人権デュー・デリジェンスの実施

人権デュー・デリジェンスを継続的に実施することで、事業活動またはサービスを通じて影響を受けるお客様、従業員、サプライヤー、地域社会の方など、さまざまなステークホルダーに生じる顕在的または潜在的な人権への負の影響を把握して、未然に防止または軽減を図ります。
 

■ステークホルダーとの対話・協議

顕在的または潜在的な人権への負の影響の対応に関して、さまざまなステークホルダーとの連携が必要であると認識し、対話と協議を進めていきます。
 

■是正・救済

事業活動またはサービスを通じて人権への負の影響を引き起こした場合には、改善に努めるとともに、是正・救済に取り組みます。また、直接、人権への負の影響を助長していない場合でも、その事業活動またはサービスを通じてサプライヤーやその他の関係者が人権への負の影響を引き起こした場合には、ステークホルダーと協働して改善に努めます。
 

■相談を受ける仕組み

事業活動に関わるステークホルダーが、人権に負の影響を与える行為を相談・通報できる体制を整えます。
 

■教育・研修の実施

本方針が事業活動全体に定着し、効果的に運用されるよう、必要な手続きの中に反映するとともに、本方針が理解され、効果的に実施されるよう、全従業員に対し、適切な教育と研修をおこないます。
 

■情報開示

本方針に基づく人権の取組みの進捗について、ウェブサイトや統合報告書で開示していきます。

5.適用の範囲と運用体制

■適用の範囲

本方針は、学研グループの役員、全従業員(正社員、嘱託社員、臨時従業員)、ならびに受入出向者、派遣社員を含む学研グループで就労するすべての者に適用します。
また、ビジネスパートナー、およびサプライヤーにも本方針をご理解・遵守いただき、協働して人権尊重を推進します。
 

■方針運用の体制

本方針を運用する体制としては、「サステナビリティ委員会」を推進主体に、サプライチェーンマネジメント部会、および人的資本部会を設置しています。本方針の運用の責任は、「サステナビリティ委員会」の委員長である学研ホールディングス代表取締役社長が担います。
上記体制のもと、社内外への周知活動をおこないます。


2023年3月改定
株式会社学研ホールディングス
代表取締役社長
宮原博昭

重要と考える人権課題と具体的な取り組み

重要と考える人権課題
 

  • ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの尊重
  • 差別の排除とハラスメントの禁止
  • 子どもの権利の尊重
  • 児童労働、強制労働および人身取引の禁止
  • 安心して働ける環境づくりの推進

人権尊重の責任を果たすための取り組み
 

  • 人権デュー・デリジェンスの実施
  • ステークホルダーとの対話・協議
  • 人権侵害の是正と救済
  • 相談を受ける仕組みの充実
  • 教育・研修の実施
  • 情報開示

人権デュー・デリジェンスの体制と取り組み

企業活動のグローバル化に伴い、サプライチェーン上で発生する強制労働や児童労働、差別など、自社にとどまらない国内外のステークホルダーの人権尊重が企業に求められています。
 
当グループでは国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、2021年から人権デュー・デリジェンスに取り組んでいます。人権尊重と人権リスクの軽減は企業活動の土台です。今後も人権デュー・デリジェンスのPDCAサイクルを回して、消費者、顧客、従業員、取引先などの人権を尊重した事業を展開し、「すべての人が心ゆたかに生きる」社会の実現を目指します。
 
まず、2021年から2022年にかけてグループ会社33社にヒアリングし、各社の人権対応の状況把握を行いました。
 
その結果、強制労働や児童労働の禁止、調達などに関わる考え方の明示の必要性と、労働安全衛生、プライバシーの権利、腐敗・賄賂、消費者の安全と知る権利、セクシュアル・ハラスメント、パワー・ハラスメントが発生可能性のある人権リスクとして確認されました。


また、2024年7月、全役員・全従業員対象に人権実態調査を行いました。法務省サイト記載の「企業が配慮すべき主要な人権リスク類型課題」を基に設定した設問もあり、賃金の不足、児童労働、強制的な労働、会社との団体交渉なども含む多様な側面から調査しました。


分析により課題を特定し、リスクマップの改訂など、改善および人権リスク低減に向けてさまざまなステークホルダーと有効な施策を協議しながら活動を展開する予定です。以降毎年実施し、 結果を開示するとともに、人権尊重のための体制づくりをさらに進めてまいります。

人権についての教育・研修の実施

■サステナビリティ研修

2024年9月20日、学研ココファン顧問弁護士・井町順一先生を講師に、グループ会社全社を対象として、サステナビリティ研修「ビジネスと人権 学研で働く私たちの人権問題」をリアルとオンラインのハイブリッド開催で実施しました。当日参加者63名、アーカイブ配信視聴者集計中。

 

■GRC研修

GRC研修においても、人権をはじめサステナビリティに関するテーマを扱っております。GRC研修について、詳しくはこちら

 

■人権についての教育・研修の実施記録

  • 社内研修「人権リスク・マネージメントを考える」において、「ビジネスと人権」の基本と、当グループの「ビジネスと人権」への対応の現状について情報共有。(2022年8月、リモート)

 

  • 特別研修会「職場を元気にする人権―パワハラのない職場をつくるために大切なこと―」を、東京人権啓発企業連絡会元専務理事・竹内良氏を講師に実施。(2022年8月25日、リモート)