T.H.

左:(株)Gakken LEAP Shikaku Pass/バックエンドエンジニアマネージャー

K.S.

右:(株)Gakken LEAP Shikaku Pass/プロダクトマネージャー

(株)Gakken LEAPは、学研グループが成長戦略として掲げるDXの加速を担うべく、2021年12月に設立されました。エンジニアやプロダクトマネージャーといった優秀なDX人材をチームアップし、2023年6月には完全オンラインの資格学習サービス『Shikaku Pass』をリリースし、「ファイナンシャル・プランナー3級」「基本情報技術者」の2講座が開講しました。リカレント教育やリスキリングが注目される中、「大人の学び」にデジタルでアプローチしています。『Shikaku Pass』プロダクトマネージャーとバックエンドエンジニアマネージャーの二人に話を聞きました。

子どもが生まれ、教育にまつわる問題を「自分事」として考え始めた

(株)Gakken LEAPとはどのような会社ですか?
また、お二人は『Shikaku Pass』ではどういった仕事をしているのですか?

学研が“生業”としている教育や医療福祉事業は、デジタルと「距離のある」業界として見られがちです。それは逆にいうと、デジタライゼーションやDXが、まだまだ浸透できてないということ。教育・医療福祉の事業をより効率的、快適に進めていくために、テクノロジーの力が貢献できることは必ずや大きいだろうと思います。
当社Gakken LEAPは、学研が業界をリードする存在となるために、まずは学研社内の既存の事業におけるデジタライゼーションの推進、そして教育や介護のドメインにおいて新規事業を立ち上げることを目指して設立されました。
そのなかで、現在、私が担当しているのが資格学習のオンラインサービス、『Shikaku Pass』です。これまで学研がカバーしきれていなかった大人向けの学習プラットフォームで、現在のラインナップは「ファイナンシャル・プランナー3級」と「基本情報技術者」の2講座。私の仕事は、プロダクトマネージャーとして市場や競合を見つつ事業の方向性を練り、具体的にどのような機能や施策があればゴールできるのかを検討した上で、開発の人たちと相談をしながら実装をしていく役回りです。
 

私はバックエンドエンジニアのマネージャーをしています。プロダクトマネージャーのK.S.さんが作った要件について議論しながら、さらに設計や仕様に落とし込んで、実際に実装や構築まで進めていくところが私の仕事です。

(株)Gakken LEAPは、Gakkenグループ全体のDXを推進しつつ自社独自サービスも展開している。Shikaku Passはその第一弾だ。
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(株)Gakken LEAPは、Gakkenグループ全体のDXを推進しつつ自社独自サービスも展開している。Shikaku Passはその第一弾だ。

転職先として(株)Gakken LEAPを選んだ理由は?

転職のきっかけは、息子が生まれたことです。親として、子どもの教育を含めた将来について、考える機会が増えました。前職は飲食店検索予約サイトで、プロダクトマネージャーとして働いていたのですが、もともと学生時代から教育に興味を持っていたこともあり、これまで磨いてきたスキルを使って子どもの教育環境をより良くするような仕事がしたい、そんな思いで学研への転職を決意しました。

私もK.S.さんとほぼ同期の入社で、転職の動機もよく似ています。Gakken LEAPには小さいお子さんがいるメンバーが多いので、マインドも近いのかもしれません。私は以前、広告代理店が中心事業の会社に勤めていたのですが、子どもが生まれて2年ぐらいたったころ、自分の仕事について「将来、子どもや世の中の役に立つのだろうか」と疑問を感じ始めました。社会や教育の問題を「自分事」として考え始めるようになりましたね。私たちに限ったことではなく、世の親御さんはおしなべて子どもの未来、それから学校教育に対する不安を持っているはず。民間の教育事業に長い間携わってきた学研であれば、そうした教育不安を拭い去れるようなデジタルサービスを作っていけるのではないか、という期待が転職の一番の動機でした。そして、それは今も仕事のモチベーションとなっています。

「大人の学び」のゴールは資格取得の先にある

同業他社と比較したときの『Shikaku Pass』の特長は?

資格学習のための教材は各社が独自に作っていますが、なんといっても学研は教育出版社として大きくなった会社ですから、優れた「編集力」を持っていることが一番の強みです。『Shikaku Pass』の動画教材は、学研の「編集力」を存分に発揮したコンテンツとなっています。また、最小限の学習で合格というゴールに至れるような厳選されたカリキュラムも、「編集力」の為せる技。これは、同業他社が真似しようにも一朝一夕にはできない部分です。
もう一つの特長は、やはり動画という学習形態です。テキスト不要なので、スマートフォンを使えば、通勤時間や入浴中など日常のスキマ時間の中で、いつでもどこでも手軽に学習ができます。
また、初学者でも不安なく学習を進められるところにも重きをおいてサービス開発を進めています。トライアル版のリリースではファイナンシャル・プランナーを目指す中学3年生のユーザーがいらっしゃって驚いたのですが、その後、その方から実際に合格した、という喜びの声が届いたのです。中学生の初学者の方でも学習でき、合格に至ることができる、そういうコンテンツだということですね。

『Shikaku Pass』の3つの特長。
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『Shikaku Pass』の3つの特長。

この仕事でやりがいを感じるのは、どんなときですか?

一番うれしかったのは、1人目のユーザーが決まったときです。数か月にわたる開発期間中は、実際の結果がどう出るかなんてチーム内の誰にもわからない。ずっと先が見えなかったなかで、最初の1人目のユーザーが現れた。自分たちの仕事が受け入れられ、報われた、という瞬間でした。私は、ユーザーの反応を見るのが好きで、前職以前からずっとto C(一般消費者向け)の仕事をしてきました。デジタルでto Cのサービスを提供するおもしろさは、それぞれのユーザーがどのように行動しているのかを細かく見ることができたり、そのデータを踏まえてユーザー一人ひとりにあわせたサービスを提供できたりすることです。やはり、その部分はアナログではなし得ない、教育のDXにおけるテクノロジーの価値かと思います。

『Shikaku Pass』は、まだローンチしたばかりですので、実際にサービスを使っていただいて、「資格試験に合格しました」というユーザーが現れるところまでが最初のゴールですね。そこまで到達したときに初めて、我々のサービスが役に立ったということを実感できるのではないかと思います。

話題のリスキリング、リカレント教育から見た『Shikaku Pass』とは?

資格というのは、社会人が今後長く働くための力を自ら身に付けていくための一つのソリューションだと思います。『Shikaku Pass』において、資格合格は確かに一つのコンセプト・ゴールですが、リスキリング、リカレントのような「大人の学び」という観点からいうと、資格を取った後は転職をしたいのかもしれないし、キャリアアップをしたいのかもしれない。そういったユーザー一人ひとりのゴールに向けた支援というものは、資格合格を超えてなお、できることがまだたくさんあるのです。そこまで踏み込んで、それぞれのキャリアや人生に寄り添えるようなサービスへの展開ができるといいな、と。そういった点もかなり意識してサービス、設計を進めているところです。さらに今後は、資格学習に限らず、より幅広く教養を身に付けるというところにも広げていくことができたら、と思っています。

「学ぶこと」のイメージをポジティブに変えていく

『Shikaku Pass』の今後の展望について教えてください。

資格学習プラットフォームとしての展望は、横の部分と縦の部分があります。横の部分とは、講座のラインナップ。現在ある2講座と同時進行で、新たな資格講座のリリースに向けて準備を進めているところです。また、今後どのようなラインナップを増やすべきかについても検討の最中です。
縦の部分とは、ユーザー一人ひとりの学習の磨き上げです。たとえばユーザーの力量に合わせてアセスメント(評価)をした上で学習のスケジューリングをご提案するなど、今後、ユーザーが日常的に使えるような学習機能をより増やしていきたいと思います。また、学習の中で問題を解くアプローチがまだ少ないので、テストや模試などいろいろな形式をランダムに行うことで、よりユーザーの知識の定着を支援できるような機能も追加していきたいと考えています。

実力派講師のわかりやすい解説動画を見ていくだけで、
効率的にしっかりと学びが身についていく
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実力派講師のわかりやすい解説動画を見ていくだけで、
効率的にしっかりと学びが身についていく

エンジニアリングの本質は、ユーザーが抱えている課題を解決するところにあります。我々はそのために、持ち合わせている知識や技術を駆使していきます。先ほどの学習機能という観点で補足すると、たとえば、ユーザーが苦手な部分にフォーカスをして講義や練習問題を構築し、理解の後押しをする、そういったオンラインサービスならではのフォローアップの仕組みも、どんどん進めていきたいですね。

これから挑戦してみたいことは。

私が考えているのは、子ども向けであれ、大人向けであれ、学びというものに対してのポジティブなイメージをより強めたい、ということです。子どものころ、新しいことを知るのはワクワクしてとても楽しかったのに、それが勉強になった途端にネガティブに転じてしまうことはありませんでしたか。大人も同じ。資格取得も会社から取得しなさいといわれたら面倒だなと思うかもしれませんが、何か挑戦したい夢があり、そのための資格取得だとすればポジティブな気持ちになれるはず。大人だって、自分がやりたいことや、自分はここなら輝けるという居場所を見つけるために学ぶんです。そういう意味では大人も子どもも一緒ですね。学びの時間を、楽しく有意義でポジティブな時間として捉えてもらうために、ユーザーに対してどのようなサービスを展開していけばよいのかを考えていきたいと思います。

学研は、子ども向けの教育と高齢者向けの介護の事業をメインに携わってきたのですが、我々は、大人向けのリスキリング・リカレント教育という新しい対象にスポットを当てて事業開発をしています。つまり、学研としては、これまで以上に多くの世代にわたる事業的なタッチポイント(顧客との接点)を持つことができるようになったということですね。人が生まれてからの一生において、学研という会社が、それぞれの生き方に対してどのように支援していくかという観点での事業設計、そして学研グループのなかにあるいろいろな事業体をどのように繋ぎ合わせていくか、というところに技術を通して解決の糸口を見出していく。それが(株)Gakken LEAPのミッションの一つではないかと思っています。

K.S.

(株)Gakken LEAP プロダクトマネジメント部 プロダクトマネージャー

2023年春、(株)Gakken LEAP入社。『Shikaku Pass』でプロダクトマネージャーを務める。6月のサービスリリース後、さらなるサービス規模拡大と提供価値向上に向けて、プロダクトの磨き込みとマーケティングに携わる。
走るのが好きで、マラソンやトレイルランへの出場経験も。ただし、最近は少しさぼり気味。

T.H.

(株)Gakken LEAP プロダクト開発グループ エンジニアリング部 マネージャー

2023年春、(株)Gakken LEAP入社。『Shikaku Pass』で、主にバックエンド領域における設計・開発・運用を行っている。
夫婦揃って演奏好き。本人はデジタル管楽器のエアロフォン、妻はエレクトーンを弾く。

※ご紹介した情報、プロフィールは取材当時(2023年10月)のものです。

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