J.M.

(株)ジープラスメディア 不動産広告事業部・セールスエグゼクティブ

2022年に学研グループインした(株)ジープラスメディアは、外国人向けに日本の不動産情報、学校や生活の情報などを提供するサイトを複数運営する会社です。日本に興味を持つ外国人からの認知度は非常に高く、系列サイトも含めて月に延べ900万を超えるユーザーが閲覧しています。なかでも1999年にスタートした『GaijinPot』は四半世紀の歴史を持つ人気サイトです。今回はその不動産情報を担当するJ.M.さんに、(株)ジープラスメディアの現状と課題を伺いました。

日本での外国人の生活を支援して、日本と世界をつなげたい

(株)ジープラスメディアは、どのような事業を展開している会社ですか?

弊社は英語圏のメディア企業で、そのミッションは「日本と世界を繋げること」です。そのために多言語のウェブサイトやポータルを提供していて、外国人が日本で安心して生活できるよう、さまざまな情報を配信しています。たとえば『GaijinPot』は英語と日本語で閲覧できる情報サイトで、外国人人材を採用する企業からの求人案件を掲載した求人ページや、留学生募集を行う日本語学校や大学の情報、生活拠点となるお住まいの不動産情報など、来日前から活用できる内容を多岐にわたって掲載しています。『Real Estate Japan』は日本の不動産に関する専門サイトで、英語・中国語・日本語で閲覧できます。ほかにも、日本についての英字ニュースサイト『Japan Today』や、女性向け情報サイト『Savvy Tokyo』などがあり、いろいろな方面から外国人の日常生活をサポートしています。

ご自身はどんな業務を担当しているのですか?

おもに『Real Estate Japan』や『GaijinPot』の外国人向け不動産ポータルを担当しています。具体的な業務は、外国人向け不動産事業を展開する企業やこれから参入したいという企業に対してのマーケティング、動向のリサーチ、ニーズの聞き取り、弊社サイトへの広告掲載依頼の対応や集客方法の提案などを行っています。あわせて、外国人への接客方法のアドバイスやレクチャー、問題解決策の提案などもしています。なので、いわゆる一般的な不動産仲介の業務を行うのではなく、顧客対象となる不動産会社に対しサイトでの集客・広告配信を行うB to B業務をメインに行っています。

日常生活を送るには「住まい」は不可欠ですが、不動産というと外国人ユーザーにとってハードルが高いイメージがあります。実際はいかがでしょう?

外国人の目からは、少し閉鎖的と感じる場面が見られます。たとえば、町の不動産屋へ行って部屋を探そうとしても「外国人はちょっと……」と断られることなどがあります。借りられる場合でも駅からすごく離れていたり、きちんと管理がされていなかったり、逆に家賃がすごく高い物件だったりと、日本人には敬遠されがちな物件を紹介されることが多いようです。望んでいる予算でちょうどよい物件を見つけにくく、来日した人はとても苦労されているのが現実です。私たち『Real Estate Japan』では、外国人OKの物件のみを掲載していますので、ユーザー様たちは安心して部屋探しができると思います。いわば、オーナーや不動産会社と外国人とのマッチング・サービスのような仕事です。

外国人だからこそ理解できることがあり、支援の手を伸ばすことができる

2022年に学研グループとなりましたが、その前後で変化はありましたか?

私が入社したのは2023年1月なので、学研グループになってからしか知りません。でも、弊社がベンチャー企業だった頃からいる先輩からは「すごく変わった」と聞いています。いちばん大きな変化は、学研の知名度の高さのおかげで、はじめてお会いする企業の方からも弊社が認識されやすくなったことだそうです。その分、学研グループの取り組みや事業についても質問される機会も多いので、私も学研グループの事業全体や取り組みなどを学んでいますが、逆に学研側からはグループインした際に「(株)ジープラスメディアらしさを大切にしてください」と言われたそうです。

「(株)ジープラスメディアらしさ」というのは?

そうですね。マルチカルチャーでしょうか。

私たちは日本で活動していますが、いわゆる典型的な日本の会社でも外国の会社でもなくて、その中間的な存在だと思っています。社員の国籍も10か国以上で、外国人だけでなく帰国子女や日本人も一緒に働いています。全社員に共通するのは英語を使えることと、海外で暮らした経験があることです。社員が「外国人」として異なる環境で生活した経験があるので、サイトを使うユーザーの気持ちがよくわかるのは、大きなメリットかと思います。

では、これまでに印象に残っている出来事や苦労したところはありますか?

仕事そのものだけではなく、同僚や仲間との出会いが、私にはとても大きなものです。不動産の仕事は波があって、結果が出るときは次々に成約できますが、そうでないときは全然ダメです。どれだけアポイントを取ってもミーティングしても、提案しても結果につながらない時は、すごく落ち込みます。そんな時でも、会社のみんなの優しさに救われています。あたたかい言葉をかけてくれるので、自然と「大丈夫、なんとかなる!」と思えてきます。自宅からのリモート業務も多いので、出社の前日は「明日は○○さんに会える!」「明日はみんなと話せる!」とわくわくします。こんなに仕事が楽しみになることは初めてです。
苦労しているのは、やはり日本語です。仕事で使うのは英語と日本語がほとんどで、母国語のフランス語はほとんど使いません。特に日本語は難しくて、こちらの言いたいことをきちんと伝えられたのか、失礼なことを言っていないか、私が相手の意図をちゃんと理解できたのかといつも心配です。ときどき相手が怒っているように見えることもあるので、「失礼なことを言ってしまったかも」と反省することが多いです。もちろんスムーズに相手が心を開いてくれることもあるので、常にそれができるようになりたいです。
 

エンドユーザーと触れ合う機会はありますか?

毎年外国人向けにイベントを開催していますが、その時が多くのユーザーと対面で会える貴重な機会です。最近では2023年12月に秋葉原で開催されました。たくさんの取引先企業がブースを出して、エンドユーザーである外国籍の方々が大勢来てくれました。私はアートコンテストの案内係を担当して、いろいろな国の方とたくさんお話ができました。そのなかで、日本で生活する上での悩みをたくさん聞きました。たとえば、ビザの更新や日本語の難しさ、引っ越しや転職をしたいけど、どうすればよいかわからない……といった生活に密着する悩みで、「私も!」とすごく共感できました。だからこそ、そうした悩みを解決へ導ける仕事に就けていることが嬉しくなります。

もっと知ってもらって、だれもが住みよい日本になってほしい

今後の目標をお聞かせください。

(株)ジープラスメディアや『Real Estate Japan』、『GaijinPot』をもっとたくさんの人に知ってもらうことです。私が「GaijinPotで働いています」と言うと、ほとんどの外国人には「すごい!」と認識してもらえます。しかし、日本人には知られておらず「ふ~ん」と言われるだけです。まだまだ知名度が低いので、もっと広めたいです。そのために、日本全国どこの不動産会社でも外国人向けの物件を扱っていれば営業し、外国のお客さんが少なそうな業者さんに対しても「打ち合わせしませんか」「外国人が来た時に役立ちますよ」「少しでも興味があったら連絡ください」と積極的にアプローチして、(株)ジープラスメディアを知ってもらえるように頑張っています。ですから、学研グループになったことはとても心強いです。
さらに『Real Estate Japan』では、外国人への接客方法やサービス提供のノウハウ、注意点など、業者向けの記事を公開しています。私が書いている記事もありますが、外国人に対して尻込みしてしまう企業様が多いので、きっと役に立つと思います。最近では、その記事を動画にしてSNSなどに投稿しはじめています。外国のインフルエンサーとコラボレートした動画もあり、手ごたえを感じています。
日本はとても魅力的な国で、「一度来たい」「できれば住みたい」と思う外国人がたくさんいます。だからこそ、少しでも多くの人にサイトを知ってもらいたいです。ごく普通の日本人と同じように、国籍を問わず、住まいを選びやすい不動産業界、暮らしやすい社会になってほしいと思います。
 

J.M.

(株)ジープラスメディア 不動産広告事業部・セールスエグゼクティブ

2023年1月、(株)ジープラスメディア入社。

自社で運営する外国人向け不動産ポータルサイト『Real Estate Japan』(realestate.co.jp)の広告営業を担当。国内不動産会社を対象に、自社サイトを通じた集客・広告の方法を提案。不動産業者向けのコンテンツ作成(外国人への接客アドバイスや問題解決方法等)やクライアントが抱える課題の解決に努める。
キャンプ、国内旅行、アニメ、友達と遊ぶことが大好きで、休日はいつも予定が詰まっています!
 

※ご紹介した情報、プロフィールは取材当時(2024年7月)のものです。

サービス・事業紹介

(株)ジープラスメディアは「日本と世界を繋げること」をミッションに、「GaijinPot」をはじめとする、日本における外国人向け求人情報、不動産情報、学校や生活情報を提供するサイトを複数運営しています。