A.Y.
(株)学研メソッド デジタル推進事業部 部長
(株)学研塾ホールディングス 経営戦略本部 事業開発部 部長
2005年設立の(株)学研メソッドは、コロナ禍の緊急事態宣言を機に、オンライン学習塾『学研オンエア』を立ち上げました。志望校合格はもちろん、不登校や休学中の生徒の学習にも効果を発揮し、着実に成果が出はじめています。その裏には生徒をひきつけ、学習習慣を身につけてもらうための工夫と、良いものを追求する前向きな姿勢があります。今回はその立役者であるA.Y.さんに、具体的な工夫や成果、将来の構想について聞きました。
(株)学研メソッドでは、小中学生を対象とした塾を運営したり、デジタル教材を販売したりしています。私は『学研オンエア』というオンライン学習サービス事業を担当しています。これは世界中どこにいても同じ授業が受けられるオンライン学習塾で、私を含めた講師が毎回ライブで授業をしています。生徒たちは自宅などからインターネットを介して受講し、講師・生徒との双方向のやり取りで授業が進みます。そのため映像授業を受講するスタイルと違って、「先生に当てられるかも」という緊張感が学習効率のアップに一役買っています。その際の宿題や演習はデジタル教材を使っています。計算などはノートにしてもらいますが、答えが出たら正解したかどうかを入力してもらうので、一人ひとりの習熟度がデータとして把握しやすい点が大きな特長です。
本格的にはじまったのは、2021年5月です。コロナ禍で緊急事態宣言が出され、教室という密な空間を避けなければならなくなったことを機にスタートしました。しかし、実は構想自体はオンライン会議システムが認知され始めた2019年頃からありました。オンラインであれば病気やケガで学校へ行けない子どもも、不登校になった子どもも学びを継続できます。地域や学校による進度の違いに影響を受けなくなる点は、生徒にとってメリットでしょう。
当初はカメラに向かって授業をする、シンプルな形からスタートしましたが、常に進化しているので今ではまったく別物です。『学研オンエア』で評判をいただいている点は、認定試験で最上位のSS級をとったトップ講師が中心に授業をしていることです。学研グループに属する講師はだいたい2,500人くらいいるのですが、全員が講師のランク認定試験を毎年受けています。SS級は年に1人、どんなに多い年でも5人程度しか認定されないため、非常に質が高いと評判です。
またオンライン学習の場合、「緊張感がある」といっても生徒は自宅にいますから、気持ちの面でリアルな塾との差が生じがちです。そこでオンエア内に仮想空間としての塾を展開しています。生徒たちがログインするとアバターが表示され、アバターを操作して塾の建物へ入り、教室に入って、着席して講義を受けます。自習室や面談室などもあり、生徒同士や講師との会話もできます。オンラインゲームでログインして、アバターを操作しはじめると、その場にいるような没入感が出てきますよね。それと同様の効果を狙っています。
すごい成果が出ていますよ。たとえば、中2のある生徒は偏差値50台で、「高校は行けるところに行ければいい」と目標のない状態でした。入塾に際してその生徒と面談して高校受験の目標を決めることになり、「やるならトップを目指したい」と勉強をはじめました。最終的な偏差値は73に上がり、県内でトップの高校に受かりました。ゲームをしたい、恋愛したい、友達と出かけたいなど、いろいろな誘惑があったかと思いますが、「オンラインだから授業を受けやすく、勉強に集中できた」と嬉しい言葉をいただきました。現在高校1年で塾には行っていないそうですが、学年トップと聞いています。一人でも効率よく学べる習慣を身につけてくれたのだと思います。
(ちょうど入試シーズンなので)昨日、受験をしている生徒がいます。その生徒は中1の時に不登校になって、まったく学校へ行けないまま中2の夏に入塾しました。体験授業を受けても全然わからない。それでもリアル学習塾に通わなくてよい点が大きかったようです。「中1からの授業を全部見直す。デジタル教材もこなす!」と意欲的に取り組んでくれました。すごく頑張ったんでしょうね。ある日「来月から学校へ行く」と言い出して、それ以降は学校にも通うようになりました。最終的には通知表が45段階評価で43。昨日が本命高校の試験だったはずです。きっと今までの成果を発揮できていると思います。
そういうわけではないです。大学時代は理系で人工知能の研究しておりました。アルバイトとして塾講師をはじめて、中2の数学を受け持ちました。就職活動では理系企業数社から内定をもらっていたのですが、「あの子たちは来年受験だな。大丈夫かな」と気になってしまって……。それでアルバイト先だった創造学園へそのまま就職しました。きっと生徒への想いと、私自身の「塾が好き」という気持ちが半々だったと思います。というのも、私がはじめて塾へ通ったのは小4だったのですが、そのときの講義がとてもおもしろくて塾を好きになりました。とにかく元気で声が大きくて字がきれいで、とても自由に講義をされる先生でした。授業中は笑いが絶えず、「こんなにおもしろい授業があるのか」と驚かされました。「めんどくさい」「おもしろくない」と思っていた勉強をおもしろく感じるようになったのもそこからです。その塾は私が就職した創造学園や学研グループとはまったく関係ないところです。通ったのはたった2年間で、親の転勤で別の土地へ引っ越してそれきりです。ところが最近、その先生と偶然再会しました。同じ学研グループの会社で社長さんになられていたのです。すごく縁を感じましたね。
そうですね、私は100あるとしたら90は厳しい授業をしていると思います。生徒たちの評価は「厳しい」「怖い」が大多数でしょう。でも、残りの10でおもしろくしたり興味を引いたりと、生徒たちの心を刺激することを忘れないようにしています。やっぱり生徒たちが自ら学ぶこと、努力することこそが大切で、そこを伝えたい。そのために10の部分で学習意欲へとつなげられたらなと思います。
すでに始まっているものを挙げると、週1回開催する『オンラインホームルーム』があります。これは学習インストラクターが勉強の仕方をレクチャーする講義です。たとえば「この教材はこう使うと効率的だよ」「目標や学習計画はこうやって立てるんだよ」「暗記はこうやるといいよ」といったポイントを、経験や実例を交えながら解説します。より効率的な学び方や、モチベーションを維持しやすい目標設定の仕方を習得してほしい、というのが狙いです。加えて、定期テスト前には1対1の面談を行います。雑談をメインにしつつ習熟度のデータをもとに目標の再確認をしたり、テスト後にはどうだったのかを聞き取ったりして、一人ひとりに合った取り組み方を模索しています。つまり、志望校への合格だけでなく、学習への取り組み方や心構えなどをトータルで身につけてもらうこと、そこを充実させていくことが、私たちの目標のひとつです。
とても良いと思います。学研グループには塾があり、学習コンテンツや出版があり、学びのノウハウがたくさんあります。それぞれ専門家が一生懸命考えて作ったもので、紙の教材も映像もあふれるほどあります。だからこそ、より充実したトータルでのサポートが提供できるよう取り組めます。学業や受験だけではありません。たとえば『子どもミライ塾』という試みでは、コミュニケーション力やプレゼンテーション力といったスキル、お金や物事の価値の見出し方など、いわゆる「非認知能力的な力」を伸ばそうとしています。さらに合格後も自ら伸びて行けるようにすること。そのための総合的な人間力を身につけてもらうことを使命に、私たちも精進しています。
A.Y.
(株)学研メソッド デジタル推進事業部 部長
(株)学研塾ホールディングス 経営戦略本部 事業開発部 部長
兵庫県神戸市出身。(株)学研メソッド デジタル推進事業部 部長。(株)学研塾ホールディングス 経営戦略本部 事業開発部 部長。塾講師歴23年。2021年(株)学研塾ホールディングスへ異動、Edtechを推進する(株)学研メソッドで、デジタル教材の開発や新規事業、オンライン学習サービス『学研オンエア』塾長を務める。
単身赴任中で2児の父。食べ歩き・サウナ・料理が趣味で、サッカーが得意。
※ご紹介した情報、プロフィールは取材当時(2024年2月)のものです。
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