S.O.

右:(株)学研メディカルサポート 営業部 営業促進課 課長代理

C.O.

左:(株)学研メディカルサポート 制作部 編集制作1課 主任

(株)学研メディカルサポートは、全国の病院を対象に、看護師向けのオンライン教材であるe-ラーニングの制作・販売を行う会社です。看護師の「学び」とそれを支える勤務先の病院へのサポートを通じて、日本国内はもとより、世界の医療水準を向上させることが同社の目標です。営業部のS.O.さんと制作部のC.O.さんに話を聞きました。

e-ラーニングで看護師の「学び」をサポート

(株)学研メディカルサポートは、どのような社会背景のもとで誕生しましたか。

2010年に、看護師の卒後研修(新卒の看護師が、所属する医療機関で臨床研修等の教育を受けること)が法律で努力義務化されました。また、日本看護協会は看護職の倫理綱領として「常に、個人の責任として継続学習による能力の開発・維持・向上に努める」ことを掲げています。わかりやすくいえば、看護師は学校を卒業した後も常に学び続けなければならないということです。このような流れの中で2011年、看護師の勤務先である病院を対象に、オンラインの研修教材であるe-ラーニングを制作・販売する(株)学研メディカルサポートが設立されました。

営業部、制作部それぞれの仕事内容を教えてください。

営業部の仕事は、当社のe-ラーニングサービスをまだご契約いただいていない全国の病院に対する新規導入のご提案、そして、既にご契約いただいている病院のアフターフォローです。営業の人員は現在、約20名。私の営業担当エリアは、埼玉県の中央・西部地域、神奈川県の横浜市と川崎市、そして宮城県、沖縄県の全域です。当社は全国展開していますので、私は入社当時には山陰や四国を担当し、その後は前述の地域を担当しております。ちなみに当社の営業部では転勤はなく、月曜日は本社に出社して火~金曜日は担当エリアに出張するという働き方です。

制作部は、編集制作課とシステム課、映像制作課、web制作課で構成されています。私は編集制作課に所属しています。講義型、映像型、インタビュー形式など多様な形式の教材を制作しています。主な仕事は、e-ラーニングの企画立案、講師への講義依頼、講義用資料やスライドの編集、講義の収録などです。ほかに、各種テストの制作、集合研修やグループワーク用のワークシートなど、教材の制作にも携わっています。

お二人の前職と、(株)学研メディカルサポートへの転職を決めた理由を教えてください。

前職は医学系の出版社で、雑誌・書籍の企画編集や営業を10年ほどしておりました。そこでは生活習慣をテーマにした医師向けの雑誌を担当していました。あるとき、医師の方から「生活習慣病は患者の生活や行動を変えないといけないので、医者よりも看護師のほうができることが多いのでは」というお話を伺い、看護師向けにアプローチすることで、より患者さまに近いところで医学の仕事ができるかもしれないと思ったのが転職のきっかけです。

私は幼児保育の教材教具を扱う会社で5年間、営業職を経験した後、こちらに転職しました。中学生の頃の入院、そして定期通院を繰り返す中で、医療従事者の働く姿を身近で見るうちに、医療の現場の方たちを支える力になりたいと思うようになったのが転職の動機です。同じ営業職ながら別の業界からの転職ということで少し不安もありましたが、さすが「教育の学研」だなと思ったのが研修の充実ぶりです。最初の1~2週間、みっちり組まれたカリキュラムのもとで基礎知識をたたき込まれるので、安心してスタートを切ることができました。営業部では“卒業検定”として課長職との面談でロールプレイングを行い、そこでOKが出て初めて営業として外に出ることが許されます。その後も先輩が営業に同行してくれたり、ロールプレイングの相手をしてくれたりして、安心して働くことができました。

何よりも大事なことは「お客さまの声を聞くこと」

(株)学研メディカルサポートのe-ラーニング教材の特長とは?

私の一番の“推しポイント”は、やはりコンテンツの更新頻度です。更新をしていかないと看護師のスキルアップにつながりませんし、研修がマンネリ化してしまって、その結果どんどん教材を使わなくなってしまうんですね。ちなみに、ご契約いただいている病院の2023度の継続率は95%です。継続して使っていただけるようなコンテンツを制作部が日々作っているので、営業担当としても非常に売りやすい教材になっているといえます。

医療は日々進歩しています。また、診療報酬などガイドラインも変わっていくので、制作部としては常にアンテナを張り巡らして、コンテンツのキャッチアップを心掛けています。

制作部と営業部の情報共有については、いかがですか?

当社では、社内のシステム上で、社員全員が顧客データベースを通して営業の日報を見ることができます。そのため、営業がヒアリングしてきた病院からの要望を制作も随時把握しており、日報をそのまま企画会議にも活用しています。

たとえば、「講義時間がちょっと長い!」という声があれば、営業がその情報をすみやかに制作と共有して、講義時間を短くしたコンテンツを作ってもらう。さらに、その短縮したものをシステム部門がアップロードするという流れです

私たちがいちばん大切にしているのはが「お客さまの声を聞く」こと。特に私たち制作は「この企画、絶対当たると思うんです!」とやりがちです。しかし、果たしてそれが本当に要望されているのか、それがあったら本当にお役に立てるのかを、まず営業を通じてお客さまにヒアリングするべきだということを、常に肝に銘じています。

学研グループで看護師向けの教材を作ることの強みは。

当社はもともと親会社が医療・看護分野の出版社である(株)学研メディカル秀潤社(現在は(株)Gakken)だったことから、看護の分野で大きな信頼を得てきました。また、講師の方にe-ラーニングの講義のご登壇を依頼する際にも「学研」のネームバリューが果たす役割は大きいですね。学研が教育出版社としてこれまでに培ってきた信頼が、仕事をする上でも大きなアドバンテージになっていることを感じます。

(株)学研メディカルサポートの教材コンテンツが目指すものは何ですか?

短期的な目標としては、医療の情報を提供する教材なので、絶対にミスの無いものを作らなければならないということですね。人の命に関わるものを作っているという責任の重さを日々感じながら仕事をしています。長期的な目標としては「課題だから仕方なく視聴する」のではなく、「ちょうど知りたかったし、学研のe-ラーニング教材って面白いから間が空いたときに見ちゃった」ぐらいの感覚で、自分からどんどん面白がって見てもらえるようなものにしていきたいです。初めにご説明したように、看護師である限り勉強を続けることが求められます。ならば、少しでも楽しく、看護師の皆さまが自分から前向きに学んでいただくためのお手伝いができればと考えています。看護師の皆さまの成長を支え、それが患者さまをとりまく医療の向上につながっていくような教材を提供したいですね。

営業と制作、それぞれの仕事のやりがいは何ですか?

私たち営業は、お客さまからの感謝のお言葉を最前線で受け取ります。e-ラーニング教材を熱心に使ってくださること自体が嬉しいのですが、「教材を使ったことで負担軽減になったよ」など、ありがたいお言葉をいただくと、さらに大きな励みになります。使いやすさや、講義内容などのコンテンツをお褒めいただくこともあります。先ほど診療報酬の話が出ましたが、看護の現場が必要とするコンテンツを即時に反映し、ご用意できることもお客さまに喜んでいただけるポイントの一つです。

私たちのe-ラーニングのシステムには配信を見たお客さまがアンケートに答える機能もあります。そこには本当にたくさんの声が寄せられていて、一生懸命に視聴してくださっているのがわかります。たとえば、「レジェンドの看護経験を語ってもらおう」というインタビュー形式のコンテンツも作っているのですが、ご覧になった方から「もう看護業界を離れようと思っていたけど、これを見て、またがんばろうという気持ちになった」というコメントをいただいて。あのときは本当に嬉しかったです。

質の高い日本の看護を世界に輸出する「窓口」に

(株)学研メディカルサポートの今後の展望を教えてください。

私たちのサービスには、講義型の教材のほかに、看護業務の手順書を動画で配信するサービスがあります。日本の看護は、ホスピタリティ面において世界的にも大変レベルが高いといわれています。日本の財産ともいえる看護師の技術・技能を海外に輸出しようと、まずは中国に向けて配信を展開する予定です。将来的には、(株)学研メディカルサポートが日本の看護を世界へと輸出する「窓口」になればいいな、と願っています。

また、看護師の負担軽減のために、患者さま・ご家族さま向けの入退院説明動画を作成・配信するサービスも今後、展開していく予定です。

(株)学研メディカルサポートには映像制作課という部署があります。e-ラーニングというと講師による講義スタイルのイメージが強いですが、シミュレーション教材といって、看護師の病棟での様子を実際に撮影して「こんなことがありました。さあ、あなたはどうしますか?」というように自分で動きや思考をシミュレートできる教材や、手を動かしながら受講できる教材も増やしてきました。映像の力を活かした今までにない形の教材をもっと作っていきたいですね。

この仕事を通じて、どのような社会づくりに貢献したいと考えていますか?

医療、福祉の需要は、社会の高齢化が進む中で、今後さらに高まると思われます。そして、その医療、福祉を円滑に滞りなく行うためには看護師の力が不可欠です。だからこそ、看護師の皆さまがその力を遺憾なく発揮できるようサポートすることで、地域の健康福祉の実現、ひいては地域の活性化に貢献できる私は考えています。

コロナ禍で、日本の医療の要が看護師であることが国民の知るところとなりました。その看護師を支えることで日本の医療を支え、ゆくゆくは世界の医療水準の向上に寄与したいと考えています。

S.O.

(株)学研メディカルサポート 営業部 営業促進課 課長代理

2017年6月に㈱学研メディカルサポートに入社。看護師向けの研修教材であるe-ラーニングを全国の病院向けに販売促進している。医療・看護分野の教育支援を行うことで世界の医療水準の向上と人類の健康福祉に貢献するべく日々邁進中。
趣味は野球で、幼少期から現在まで続けている。
 

C.O.

(株)学研メディカルサポート 制作部 編集制作1課 主任

2020年1月に(株)学研メディカルサポートに入社。現在まで医療従事者向けe-ラーニングの編集に携わる。看護師や医師、療法士、栄養士などさまざまな分野の講師を迎えて講義型、映像型、インタビュー形式など多様な形式の教材を制作。医療従事者の院内研修・生涯学習の支援をめざしている。
オンライン会議中に限ってやたらと元気になるインコ3羽と暮らす。
 

※ご紹介した情報、プロフィールは取材当時(2024年9月)のものです。

サービス・事業紹介

学研メディカルサポートは、医師、看護師などの医療従事者や、介護福祉士・ホームヘルパーをはじめとする介護職員のスキルアップと生涯学習を全力でサポートします。