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小学生白書Web版 2010年9月調査 調査結果

第2章 小学生の日常生活についての意識と実態

遠藤宏美(明治学院大学非常勤講師)

2.小学生の日常生活時間とその内実
(2)高学年になるにつれ、読書と遊びの時間は減少、テレビ視聴とゲーム遊びの時間は増加

 小学生は、学校から家に帰ってきた後、勉強のほかに一体どのようなことにどのくらいの時間を費やしているのだろうか。以下では、本を読む時間、テレビを見る時間、遊ぶ時間、ゲームをする時間の4つの行動にかける時間について、アンケートの結果を見てみよう。

①本を読む時間

 全体をみると、約半数(55.8%)の子が「30分~1時間」を読書にあてていることがわかる(図2~6)。しかしながら、約3割(31.3%)の子は読書をしていない。

 男女別にみると、「(読書を)しない」と回答した割合に大きな差がみられ(男子:37.3%>女子:25.2%)、女子の方が読書をしていることがわかる。また、1時間以上(「1時間~2時間未満」「2時間~3時間未満」「3時間以上」)読書をする子も女子に多く(男子:11.2%<女子:14.7%)、女子の方が読書に費やす時間が長いといえる。

帯グラフ

図2-6.本を読む時間

 また、この図2~6からは、「30分~1時間未満」読書をしている子どもの割合が、学年が上がるにしたがってわずかずつではあるが減少する傾向が見て取れる。減少した分は、「(読書を)しない」子の増加分とほぼ一致する。特に4年生以上では「(読書を)しない」子の割合の増加が著しく、6年生では約4割(39.0%)の子が読書に時間を割いていない。6年生は勉強に忙しく、読書に時間を割くことができないのだろうか? それともあまり読書が好きではないので時間を割かないだけなのだろうか? このアンケートではその理由までは明らかにすることはできないが、一つのヒントは小学生の「よくやる遊び」にありそうだ(詳しくは後述する)。つまり、6年生は「よくやる遊び」に「読書」を挙げる割合が4・5年生に比べて低いのである*注1。6年生にとっては、読書よりもほかに時間を割きたくなる遊びや行動があるのではないかと推察できる。

<注>

*1 
「読書」を「遊び」ととらえない子もいたり、このアンケートでは「よくやる遊び」を「3つまで」選択するよう求めていることから、「3つ」のうちに「読書」が入らなかったりすることも、「読書」を挙げた割合が少ない原因であると考えられる。また、1日の中で読書に費やす時間を尋ねているのだが、そもそも「必ず毎日本を読んでいるわけではない」という反論もあるだろう。このような点は調査設計上の問題であり、今後の課題として検討していきたい。

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