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研究分野:教育情報研究分野

シリーズ「教育大変動」を語る

第2回

「義務教育の構造改革がもたらす課題」

第三者による学校評価では教育はよくならない
古川:
 規制改革・民間開放推進会議の答申の二つ目は、受益者(児童生徒、保護者)や第三者機関による学校(教員・校長)評価の確立です。文科省によりますと、平成16年度には小中学校の97%が自己評価を行い、78%が外部評価を行っています。今後、学校評価ガイドラインに基づく評価実践研究と、第三者評価の試行が行われます。
藤田:
 全国一律に評価するということとか、第三者機関を設けるということが行われるようになると、当事者評価から離れて各学校を序列づけたり、いわゆる達成目標を立てて、学校を煽るといった歪んだ方向に行くから、私はそういう評価はすべきではないと考えています。

 子どもたちに教師に対していろいろコメントを書いてもらうとか、保護者に教師の直してほしいところをアンケートするというような教員評価はやってもよいでしょう。しかし、それが教師を選ぶ基準となることが問題です。そこまでして選ばなければいけないのか。選べるようにするということは、裏を返せば希望の選択ができない子どもが必ず出るということです。また、選べるようにしたら教師の当たり外れがなくなるのかというと、そんなことは絶対にないのです。
古川:
 答申の三つ目は学校情報の公開の徹底です。
藤田:
 情報公開というのは言葉が一人歩きしています。学校は、公表すべきものをもう十分公表しています。どういう先生がいるか、担任もそれから校務文書も職員会議の議事録だって公開されています。公立学校は自由にできる予算なんてほとんどありませんが、それすらも、ほとんど公開されています。情報公開法により、だれもがいつでも見ることがでるのです。

 これ以上、積極的に学校が一般公開するという性質のものではないと考えます。子どもの学力などは、学校の校区の人たちや保護者にとっては、重要なのかもしれないけど、すべての市民が知る必要はないでしょう。

 その学校をよくしようと思う人、あるいはよくなってもらわなければ困る人たち、つまり保護者の人たちと地域住民は、内部評価であれ外部評価であれ基本的な情報は共有すべきです。それは、同時に課題も共有し、みんなで協力してよくしていくことをめざす。それが当事者評価と私が言っているものです。

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