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研究分野:教育情報研究分野

シリーズ「教育大変動」を語る

第8回

「教育基本法」改正(案)で教育はどう変わる?

「公共の精神」と奉仕活動
古川:
 先生が言われた「公共の精神」については、前文※2に新たに加えられ、また第二条にも「公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し…」とずいぶん強調されています。これは、将来の奉仕活動の義務化を想定されているのでしょうか?
木村:
 私自身は、それは国が決めるべきものではないと思っています。東京都が高校生に対する奉仕活動の義務化を進めていますが、基本的には各地方公共団体が必要に応じてやり方を決めていけばよいと思います。ただ、一般論ですが、奉仕というのをもっと日本の社会に浸透させるべきだと思います。

 例えば、英国のあるロータリークラブでは、救急車を年に2~3台も買えるお金を会員から集めて寄附しています。また個々人の行動力も高く、著名な弁護士が、当然のようにたった一人で街頭募金を行っています。阪神淡路大震災のときには、YMCAやYWCAの人たちが素早く駆けつけて支援活動を行った後、速やかに引き揚げていった。必要以上のことをして、かえって迷惑をかけてはいけないということですね。彼らの中には奉仕というものはどういうものかが浸透しているのだと思います。その辺のことを子どもたちに学んでほしいですね。
 また奉仕活動を通していろいろな体験ができるので、教育的にもよい効果を生むのではないでしょうか。

※2 「教育基本法案」前文[アンダーラインは主な修正点]
 我々日本国民は、たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家を更に発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを願うものである。
 我々は、この理想を実現するため、個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する。
 ここに、我々は、日本国憲法の精神にのっとり、我が国の未来を切り拓く教育の基本を確立し、その振興を図るため、この法律を制定する。

「教育基本法案」(教育の目標第二条3)[教育の方針を目標に変え大幅に追加]
 正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。

<現行法>前文
 われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。
 われらは、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな 文化の創造をめざす教育を普及しなければならない。ここに日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。

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