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研究分野:教育情報研究分野

シリーズ「教育大変動」を語る

第11回

児童の学力を左右する「社会的背景」とは?

「世帯所得」と「学校外教育費支出」に影響される学力
古川:
 通塾の有無(通塾→高得点)や家庭学習時間(長時間→高得点)など、さまざまな要素と学力の関係を調べておられますが、特に「学校外教育費支出(学習塾など)」と「世帯所得」が多いほど学力が高いという結果が出ています。
耳塚:
 統計的に学力と一番関係が強いのは、学校外教育費支出(図1)です。これによると、「3万円」を境に得点の差が大きく出ています。これは、3万円未満では通信教育や補習塾で勉強している児童が多く、3万円以上では試験対策を重視した進学塾に通っている児童が多いためだろうと思います。
図1 学校外教育費支出と学力
図1 学校外教育費支出と学力
古川:
 世帯所得(図2)では、年収800万円以下と以上で学力点(通過率)が12点も違いますね。
図2 世帯所得と学力
図2 世帯所得と学力
耳塚:
 年収800万円辺りが、塾などの費用に3万円以上掛けられるかどうかの境になっているのかもしれませんね。また、子どもを高い学力が必要な私立校に通わせることが可能な所得の境を表しているのかもしれません。
古川:
 家庭での学習時間に世帯所得の要素を関連づけたデータ(図3)によれば、同じ学習時間でも所得によって学力格差が出ています。
図3 家庭学習時間別世帯所得別算数学力平均値
図3 家庭学習時間別世帯所得別算数学力平均値
耳塚:
 これは大変厳しいデータです。この「家庭学習」には、塾や予備校での学習時間などは含まれていません。それにも関わらず、所得との相関が見られるのは、塾などで効率的な勉強の仕方を学んだり、質の良い教材が提供され、それを家庭学習でも使っているせいではないでしょうか。

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