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研究分野:教育情報研究分野

シリーズ「教育大変動」を語る

第5回

「なぜ、教育においても規制緩和なのか?」

学習者による教員評価の必要性
古川:
 規制改革会議では、児童・生徒、保護者(先生の言う学習者)の意向を反映した教員評価制度の導入を提案しています。
戸田忠雄
戸田:
 文科省は、平成15年から17年まで各自治体に、教員の勤務評定について調査をしました。何らかの形で勤務評定のシステムをつくったところと、形だけつくって先送りしているところと、大きくは二つに分かれていました。何らかの形で勤務評定をつくったところも、ほとんどが上司評価と自己評価だけでした。(しかも人事考課にまで結び付けているとこはまだないんです)。これでは不十分です。

 閉鎖的な教室でそれぞれ教員が、児童生徒たちと接しているわけです。僕も校長経験があるからわかりますが、校長がすべての教育指導を把握するのは無理です。だから誰が校長をやっても、きちんと先生を評価できるようにするには、やはり教室で教育サービスを受けている児童生徒や保護者の評価を入れるのが一番良い。私案ですが、上司評価と学習者評価を半々にするのが良いと思います。教員評価といえば、みんな嫌がりますが、これは教員にとってもとても良いことだと思います。なぜかと言うと、自分が教えている児童生徒や保護者に、いい授業だ、良い先生だと言われることは、教員にとってかけがえのない喜びだからです。それが評価になれば励みにこそなれ、反対する理由はないはずです。これは長年、現場で教員をやってみないとわからないことです。

 今の学校評議員制度も、オンブズパーソン的な役割よりも、校長との仲良しクラブみたいで学習者にとって十分に機能を発揮しているとはいえません。
古川:
 この3月に行革推進法案が成立、「教職員の児童・生徒の減少に見合う純減」と、人材確保法の廃止を含めた教員給与の見直しについて議論されています。文科省は、教育課題が多い今、いずれも教員の待遇の劣化につながり、優秀な人材が確保できなくなる恐れがあるとしています。
戸田:
 純減が優秀な人材の確保を妨げるとは思いません。人数が減ることと、鍛えることは別次元の問題です。僕たちが問題にしているのは教員の資質です。入口の参入障壁を緩和して、いろいろ多様な先生に来てもらう。その次にOJTでいわゆる職場内訓練、つまり実際の授業で鍛えるという仕組みをつくりたいのです。免許の更新制や現職研修よりも、これが一番効果があるのです。

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