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研究分野:教育情報研究分野

シリーズ「教育大変動」を語る

第8回

「教育基本法」改正(案)で教育はどう変わる?

改正すべき3つの理由
古川:
 「教育基本法案」は、本年4月に与党内で最終報告がまとまり、国会に上程されました。約60年間に渡り施行されてきた現在の教育基本法(以下、現行法)を、なぜ今、改正する必要があるのでしょう?
木村:
 大きく三つあると思います。一つ目は、この教育基本法※1というのは学校教育の、さらには国造りの大前提で、言わば公理のようなものであるということです。教育を変えるには、学校教育法だけを変えればよいという意見もありますが、それでは場当たり的なことしかできません。大元にきちんとした公理、つまり教育基本法があって、その枠組みの元に学校教育構想関連法があるべきであるというのが私の見解です。

 二つ目は、現行法が時代に合わなくなってきたということです。現行法は戦前の全体主義に対する反省があって、「個」というものを非常に重視しています。その結果「公共」ということ、社会の中での個人というものが、完全に抜け落ちてしまいました。最近では、裁判員制度が導入されるなど、真の「公共の精神」が必要であることが認識され始めてきており、そうした新たな社会環境に対する記述が必要になったということです。

 三つ目は現行法はメッセージ性に欠けているということです。現行法は、極めてわかりにくい文章で、その英訳は外国人が読んでもほとんど理解できないと思います。今や日本にとって、外国とのコミュニケーションは必要不可欠なものです。我々、日本人が教育をどうしようとしているのか、というメッセージをきちんと外国に伝えていく義務があると思います。

※1 教育基本法とは、戦後の教育の基本を確立するために、1945年に施行された法律。教育の基本理念、義務教育の無償、教育の機会均等などについて定められており、学校教育法や社会教育法などすべての教育法規の根本法となるもの。

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