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研究分野:教育情報研究分野

シリーズ「教育大変動」を語る

第9回

児童生徒の「意欲低下」はなぜ起きる?

日常生活の問題が意欲低下の原因に
古川:
 今回、「意欲の低下」について審議された背景には何があるのでしょうか?
衛藤:
 この審議を行った「スポーツ・青少年分科会」では、4年前に「子どもの体力向上のための総合的な方策について」という答申を出しており、これが今回のテーマについて審議を行う伏線のひとつになっています。子どもの体力低下の原因は、ただ単に体力だけの話ではなく、心の問題、特に「意欲」の低下が関連しているのではないかということなのです。

 例えば、他の子どもと触れ合わずに一人でゲームばかりしている、ただダラダラと毎日を過ごしてしまう、青年期になっても自立できないなど、「勉強だけではなく、様々な意欲が低下している」という現象は、学校現場でも広く認識されています。
古川:
 このまとめでは、意欲低下の原因のひとつとして「価値観等と社会的期待との相違」という定義がされていますが?
衛藤:
 これは審議会のヒヤリングのなかで、上智大学の奈須正裕先生から、心理学の研究では、「意欲=価値×期待」ととらえるというご意見を伺い、これを文書化したものです。つまり、「ある価値感があって、それに近づく期待が持てる、それが意欲の中身である」ということなのです。

 現実には、将来に希望が持てないとか、社会的に評価されない方向で行動している、また他者との関りがないために評価されない、学校教育の早い段階で学習につまずき諦めてしまうといった理由で、子どもたちは意欲を失っています。それが「価値観と社会的期待との相違」になります。
古川:
 今回の答申では、子どもたちの日常生活に関わるさまざまなデータを収集・分析され、それらについて意欲を向上させるための提言を行っておられますね。
衛藤:
 以前から「心の健康」と言っていましたが、文科省の調査でも、心の健康状態というのは、生活習慣と関わりがあるという結果が出ています。今回の答申は、そういった流れの延長線上にあるのです。

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