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研究分野:教育情報研究分野

シリーズ「教育大変動」を語る

第2回

「義務教育の構造改革がもたらす課題」

政府主導の「独善的論理」による教育改革
古川:
 いま行われている義務教育改革の政策の多くは、政府主導で行われています。
藤田:
 一般的に言えば、政治家が地域住民あるいは国民も含めて、教育にさまざまな発言をするのは好ましいことだと思います。少なくとも改革や政策は、責任を持って良識のある判断をすべきであり、根拠のある改革や政策をやるべきです。選挙で選ばれたからといって、自分がすべて認められたという独善的な考え方に立って改革をすべきではない。民意を問うならば、政策のメリット・デメリットやどういう理由でやるのかということを明確にしたうえで判断をしてもらうべきです。

 経済界や政界のこの間の介入の仕方は、あまりにも根拠薄弱で、個人的な非常に狭い体験に基づいた独断と偏見としか思えない。もう少し、改革政策の妥当性、適切性を根拠を持って確認して改革を進めるべきです。
「共創」の教育で義務教育はよみがえる
古川:
 先生は、現在の教育改革は「強者の論理」によるところが大きいとして、独自の「共創の教育」を提唱されておられます。
藤田:
 基本的には当事者たち(地域社会で生活する人や、学校の子どもたちやその保護者、教職員。それからそれを取り囲む人たち)が、さまざまな情報や課題を共有し、自分たちの学校として、協力して創っていくというものです。それはある意味では、昔からやってきたことを繰り返すわけです。当事者たちが自分たちなりに工夫して、学校を、そして学びを毎回創り直しているわけです。みんなで協力していくことが、その学校の伝統を、そして学校のカルチャーや雰囲気を創っていく。

 互いを尊重し認め合い、一緒に創り直していくプロセスを組み込んだ教育、あるいは、そういうことを指導理念としてやっていくことが重要ではないかと思います。

 例えば学校の支援ボランティア制度のようなものを組み込んでやっていく。コミュニティスクールも基本は同じだと思うのですが、その場合は、学校の評議会の権限が大きいだけに、教職員、地域住民、保護者の三者間の意見の不一致や利害の対立が日常的に運営面に持ち込まれる危険性が大きい。
 それよりも、評議員制度や学校支援ボランティア制度のほうが成功する確率は高いと考えています。

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