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研究分野:教育情報研究分野

シリーズ「教育大変動」を語る

第7回

「教職大学院は制度として定着するか?」

フィールドワーク重視のカリキュラム
古川:
 具体的には、どのようなカリキュラムが考えられているのでしょうか?
梶田:
 カリキュラムの大きな特徴は、従来の大学院教育ではあまりなかったケーススタディやフィールドワークを重視している点にあります。

 例えば、不登校の問題について学校に入り込んで参加観察をしながら、環境的な問題、個人の特性の問題、人間関係の問題など、総合的にアプローチします。遅刻しがちな子が友だちが声を掛けたら(登校刺激)登校したけれども、やがてまた欠席するようになったとか、逆にまったく登校できなかった子どもが、どんな対応により校門までは来るようになったとか、そうしたフィールドワークを行うわけです。

 管理職におけるリーダーシップ向上ためのフィールドワークも行います。例えば、スクールマネージメントがうまくいっている学校、逆に全然うまくいっていない学校に入り込んで、校長や教頭先生の後を付いて歩き、その行動をメモする。さらに、ほかの先生方の反応も細かく記録していく。

 今までのアカデミックな研究だったら、主要な仮説は何であったか、それを立証するために、どういうデータをどういうやり方で取ったかということをやるわけです。それも重要ですが、むしろ現実の問題に、生のかたちでトータルに取り組んで、そこから得たものを素材にして、自分なりのものの見方・考え方や行動の仕方を得ていこうということなのです。  従って、教職大学院では、基本的にマスター論文、修士論文を書きません。
古川:
 修了の際の学位はどうなるのでしょうか?
梶田:
 教職修士(専門職)等の専門職学位を定めます。これは、アメリカの教育大学院における、教員対象の修士レベルの履修コースを修了したものに贈られるM.Ed(マスター・オブ・エデュケーション)に相当するものです。将来は博士課程まで伸ばし、Ed.D(ドクター・オブ・エデュケーション)を創りたいと考えています。
古川:
 現時点で、教職大学院の設置はどうなるのでしょうか?
梶田:
 兵庫教育大では、制度の導入より1年早く、同様の構想・内容をもつ2専攻4コースがスタートします。ただし、まだ制度が出来ていませんから、既成の大学院に新しい専攻を増設するというかたちを取ります。具体的には、学校指導職コース、授業実践スペシャリストコース、心の教育スペシャリストコース、さらに3年間で大学院レベルの小学校免許が取れるという小学校教員養成特別コース、この4つのコースを創設します。

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