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研究分野:教育情報研究分野

シリーズ「教育大変動」を語る

第5回

「なぜ、教育においても規制緩和なのか?」

規制改革・民間開放推進会議が目指すものとは?
古川:
 先生は規制改革会議のなかで(経済財政諮問会議のメンバーを含めても)、唯一の教育の専門家で、しかも現場(教師)の出身です。専門委員になられた経緯は?
戸田:
 昨年の9月下旬に突然に内閣府からヒアリング要請の依頼の連絡がありました。僕の著書「『ダメな教師』の見分け方」の理念が、規制改革会議の方向性や理念と同じだというのがその理由でした。さらに専門委員の方からも、「この本で教育について目から鱗が落ちるくらいよく理解できた。なるほど、学校の仕組みと実情はこうなのかと思った。しかも今まで自分たちがやってきた方向が間違っていなかったということがわかった」という主旨の感想を頂戴しました。

 そして正式には昨年の12月上旬から、専門委員に就任し、会議に参加しています。しかし、ここでは個人の立場で話をさせてもらいます。
古川:
 規制改革会議は、学校選択制の完全実施や受益者による教員評価の導入など、市場主義的な教育施策を次々に導入しようとしています。同会議の目指しているところは何でしょうか?
戸田:
 規制改革会議は、学校選択制の完全実施や受益者による教員評価の導入など、市場主義的な教育施策を次々に導入しようとしています。同会議の目指しているところは何でしょうか?
古川:
 文科省は義務教育の目的には、人格形成とともに国家・社会の形成者の育成を挙げているわけですが…。
戸田:
 僕も公開討論で文科省とその点で議論をしました。文科省は国家の要請があるから、学習者の立場にだけ立つわけにはいかないと言います。それならばこれは私案ですが、必要最小限のナショナルミニマム、つまりカリキュラム・スタンダード(学習指導要領)、ティーチャー・スタンダード(教員評価要領)、スクール・スタンダード(学校選択要領)の3つがあれば、これで、教育内容の質、教員の質、学校の質の3つの最低基準を担保することができます。それに、政治的中立の原理を加えれば十分だと思います。これらを法令で行為規範として定めればよい。

 ところが、現実には文科省は国家の要請と称して、学校現場の箸の上げ下ろしまで、細かく規制しています。校舎一つ造るのだって広さも天井の高さも廊下も、全部細かく決まっています。でもそこには根拠はありません。僕たちはそういう無駄な規制をなくし、現場に任せましょうと言っているんです。

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